弥山川溯行(双門ノ滝~狼平)

 お盆休みを前にした最後の連休ということで、宿題だった双門ノ滝登攀に取り組むことにした。
 
 弥山川ゴルジュには5年前(2008年7月)に、一ノ滝から双門ノ滝まで行っているが、この時は、双門ノ滝は登らず、右岸を巻いて登山道から下山している。弥山川ゴルジュの溯行を思い立ったその当時、双門ノ滝を登るという発想がそもそもなくて、ゴルジュを攻めれただけで満足だった。
 
 あれから5年の間、エスカーレートしていく険谷志向に不安を感じ、コージのヘルニア発症などで、フリークライミングに没頭する数年があったが、今年、こうして、再び沢の世界に戻ってきた時、双門ノ滝登攀が、宿題のまま残されていることに気付いた。
 
 ところで、双門ノ滝は大阪わらじの会では、朝山&加藤コンビが登攀を行っている。
双門ノ滝の上流部も、三鈷ノ滝や聖門ノ滝から始まるゴルジュがあり、それなり楽しめそうだ、ということで、双門ノ滝から狼平まで、今回、溯行してみることにした。
 
 

【日程】  2013年7月27日~28日
【場所】  大峰山脈 川迫川支流・弥山川
【地形図】  「弥山」
【報告者】  シブ
 
 
 2時に目覚ましを合わせた積りだったが、4時まで二人とも寝過ごしてしまう。まぁ、慌てても仕方がないということで、予定と二時間遅れの自宅出発となり、熊渡を7時に出発することになった。
 
 熊渡には、すでに数台車が停まっていて、私たちの前にも弥山川コースに入るパーティがあった。
 
 
 今回は、双門ノ滝からの溯行が目的なので、新設されたカナビキコースで狼平まで登り、そこから弥山川コースを下って行くことにした。
 
 カナビキコースは最初は杉林の中の急登が続くが、やがで明るいブナ林の尾根道となって気持ちが良かった。狼平からは弥山川コースを下る。弥山川コースは、数年前襲った紀伊半島の大水害で土砂崩れが起き、河原避難小屋がふっ飛んでしまっていたのには驚らかされた。話には聞いていたが、ここまで跡形もなく消失してしまうとは・・・。谷間は、左岸からの大崩壊でガレで完全に埋もれてしまっていた。そろそろ双門ノ滝の高巻き入りそうなところで、臭いルンゼを下って行くと、以前、そこでテントを張った覚えのある双門ノ滝の頭に出ることができた。
 
  頭には、以前なかったはずだが、アンカーが二点、打たれていた。一体、誰が何の目的で打ったのだろうか?右岸をルートファインディングすれば、滝の下に立つことができるのだが・・・。
 
 再び、双門ノ滝の頭に立って、下を見下ろしてみる。あの時は高度感に足が竦む思いがしたが、今は見下ろして、「結構、早く登ってしまえそうだ」と思う。出発は遅れたが、テントを張った後、双門ノ滝に向けて出発することにした。
 

 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 再び、登山に戻り、橋が架かるところからルンゼを下って行く。ルンゼは降りる程に傾斜が増したので、最後は樹林帯に逃げて、懸垂下降で谷間に降り着いた。降り着いたすぐ目の先にその名のごとく門扉のように両岸に数百メートルはあろうかと思われる側壁を備えた双門ノ滝が聳え立っていた。しかし、目の前で見る双門ノ滝は、登山道から遠望するのとは異なり、傾斜をあまり感じさせない。まず、1ピッチ目は私のリードで、中段テラスまで階段状となった岩場を登った。
 
 
 そして、いよいよここからが核心の始まりで、コージにリードを引き継ぐ。水流を渡って右手のチムニーを登ることもできたが、「行ってみる!」と、コージは水の流れるチムニー内に入って行った。
 
 チムニーに入るとビレイ地点からコージの姿を窺うことはできなくなってしまった。水の流れる音でコールは全く聞くことができず、ザイルの動きだけでコージの状態を知るしかない。しかし、ザイルはあまり停滞することになく、順調に伸びて行った。不意にザイルが一気に最後まで流れ、それでコージが頭まで辿り着いたことを知る。
 

 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 テラスから一段下降して、水流チムニーに突入する。チムニー内は薄暗く、真っ直に切れ落ちた岩間を水流が一条の白い光のように流れ落ちてるのが目に入った。両側の壁は垂直で、かすかにある窪みをスタンスにして、右側にあるバンドまでまさにチムニー登りで這上がっ
た。苦しい体勢でランナーを回収した後、右手のバンドから更にチムニーで上昇し、天の導きのように伸びる左側のバンドに、思い切って移った。
 
 ここを越えるとチムニーは傾斜を落としたので、ほっとするが、水流を潜って向こう側のクラックに取り付かねばならず、瀑水に吹き飛ばされそうになりながら全身スブ濡れになって、クラックに取り付いた。しかし、後で聞いたらコージは手前のカンテを登ったそうだ。クラックから流れ口へ登り移ると、コージの姿がようやく見えて、階段状となったところを後は登って行くだけだった。
 
 
 テン場に到着すると、さっそく薪集め。流木が豊富にあったので、すぐに集めることができたが、薪は濡れていて、なかなか火が熾らなかった。しかし、コージの1時間に渡る奮闘で無事に焚火を囲むことができた。あらかじめ沢の水で冷やしておいたビールで祝杯。カマンベールチーズに白老牛のローストビーフ。いつになく、この晩は贅沢をした。
 
 翌朝、テン場を出発すると、さっそく淵が現れ、ナメ状滝が掛かるが、ここは難なく通過。しかし、次に現れた淵は少し泳がねばならなかったが、滝の右手の岩棚に這い上がり、トユ状滝を越えた。
 

 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 淵を持った小滝をさらに越えると、前方に白い岩肌に優美な流れを落とす滝の姿が見えた。比較的大きく、20mほどあるだろうか?恐らく、これが三鈷ノ滝だろう。この滝は右手から簡単に登ることができた。
 
 三鈷ノ滝の上はナメが続いた後、河原となる。しかし、再び廊下となって、細長い淵が現れ、これをへつって越えると、廊下の先に左手から漏斗のように水流を落とす滝が見えた。20mほどはあるのだろうか?遠目に見ると、登れるタイプではなさそうだが、一応、滝の下まで見に行ってみることにした。
 
 滝の前には大きな淵があり、その淵を左岸の岩棚から回り込んで、滝の右手に出る。登るとすると、泳いで滝下の棚からチムニーに取り付くか、もしくは、右手の壁をトラバースし、滝に取り付くか、である。その先は、行ってみなければ分からないが、何とか登れそう・・・ということで、右岸から高巻き、一旦荷物をデポしてから、装備だけを身に着けて、再び滝の前に降りることにした。
 
 

 まず、私が頑張ってみるということで滝下の、のぺっとした棚まで泳いで行こうとするが、ギアが重くて沈んで思うように進まず、引き返してしまう。
 
 で、あっさりコージにリードを交代。しかし、コージも寒さのせいか、泳ぐには気が進まないようで、棚から滝右手の壁を登ることにした。私、全身スブ濡れになって頑張ったんだけどな。。
 
 右手の壁には、薄いながらバンドが滝に向かって続いている。しかし、外傾しているし、ホールドも乏しいので、それを上手く繋いで登れるかどうか、が問題だった。
 
 まず、外傾バンドに上がってそこから、跳び箱のような岩棚を目指してトラバースする。バンドは細く、ホールドも悪い上に乏しいので、スタンスとホールドの手順を組み立てながら進む。コージは、ハーケンを決めながら、じりじり進む。跳び箱台に上がると、そこから滝身を登って行くが、滝右手に走るクラックに取り付くまでまた悪いトラバースがある。そこを何とかクリアしクラックに取り付ければ後は、それを直上していけばいい。水流が漏斗のように流れ落ちるハングを水流際まで接近して越えると、そこが頭だった。
 
 20mの上は、かつて避難小屋のあったガレに埋もれた河原。河原を越えると、淵を持った小滝を幾つか現れ、そうこうしている内に二又に到着する。二又からは、ゴルジュとなって滝と淵が連続するが、高巻くことなく、どれも登ることができた。
 
 ナメの続く河原を歩いていくと、狼平に間もなく到着。後は、登山道を熊渡へと下って行くだけだった。
 

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