秋の大峰奥駆道縦走

山域:大峰奥駆道
山行形態:縦走
日程:2011年10月22日(土)~26日(水)
報告者:コージ(単独)
 
-----------    初日     -------------
10月22日(土):自宅出発…(電車、ケーブル)…
        …吉野(金峯山寺)9:10…(歩)…山上ケ岳…小篠宿17:05(約8時間)
天候:雨
ボッカ:水5L、酒
根っからの水飲みとシブから言われているくらい水欠乏に恐怖があるので家から目一杯ボッカ!して出発。
早朝、最寄のJRホームで電車を待っていると”新宮駅~紀伊田辺駅で電車が見合せ”と電光掲示の表示が流れていた。
大雨の予報だったので、やっぱりかと思うが台風12号の影響で紀勢線のダイヤは不安定なので仕方がない。
9時に金峯山寺を通過し、立派な二蔵宿小屋にて小休憩のあと大天井ヶ岳へのキツイ登りに入る。きつかった!
大天井ヶ岳を過ぎると左手にガスを切り裂いてピラミダルな容姿の勝負塚山が尾根の先に見える。
五番関を越え今宿跡には勝負塚山への尾根があった。
すでに今年の営業を終えた洞辻茶屋や幾つかの茶店を抜ける。夏は賑やかなことだろう。ますます天気が悪くなってきて西ノ覗きではガスで視界がなくなった。大峯山寺本堂前ではもう横殴りの暴風雨で顔を上げれない。
ここから少しの下りで今日の宿、小篠ノ宿小屋。顔を下向きにとばして日没直前に到着。
この場は靡第66番で、役行者と理源大師聖宝を祀る行者堂、庭には不動明王等の銅像があって厳粛な雰囲気を漂わせていたが竜ヶ岳周辺の森の中にあって水も豊富で居心地が良い空間だった。
中に入ると先客がいました。今日は二蔵宿小屋から来たという東京の3人パーティと男性1人の4人。
狭い小屋なので居場所が無く私は濡れた土間に早々と銀マット広げて、酒と晩飯とした。
-----------   2日日     -------------
10月23日(日):小篠宿5:35…(歩)…楊子ケ宿小屋16:35(11時間)
天候:晴れ、ガス
ボッカ:水5L、酒
 
秋の空は釣瓶落とし。今日は行程上、長い1日となるので、空が白みかけてくると直ぐに出発。弥山小屋泊するという東京のパーティより先にでました。
 
すぐに幻想的な阿弥陀ケ森分岐を通過して、ワサビ谷と神童子谷を見下ろしながら岩の砦・大普賢岳へ。思わず歩みを止めて泊まりたくなる稚子ノ泊。美しい稜線を一ノ垰まで。しばらくゆるやかな白川又川左岸支流の稜線を歩いていくと、いよいよ大峰の屋根・弥山への登り。
何回も何回も立ち止まり、息を整えながらやっーと、弥山小屋に到着。
しばらく体を休ませてから近畿最高峰に位置する源流域を楽しみながら歩いていきます。もう冬を乗り越える準備を済ませた樹木や草木たち。行った沢筋を一つ一つ見ながら楊子ノ宿小屋まで本当に楽しい時間でした。
今夜は一人かと思っていたら、後から関東から夫婦が上がってこられたました。前鬼から入山して翌日、八経ケ岳にピストンして下山するとのこと。男性はすでに百名山に登頂していて、今は女性を連れて二回目のピークハントをしているらしいのですが、二回目は最高の季節をセレクトしていくというのがお約束とのこと。
昨日は、大台ケ原へ行ってきたとのことでしたが、今年の紅葉は落葉していてダメだったといっておられました。それでも何とも贅沢ですね。
東北の紅葉が一番と力説されていた夫婦には、ぜひ一度大峰台高の最高の紅葉を見てもらいたいものです。
 
-----------   3日日     -------------
10月24日(月):楊子ケ宿小屋6:00…(歩) …平治ノ宿小屋16:38(約10時間半)
天候:晴れ
ボッカ:水3.5L、酒
 
この日は予定では行動時間が9時間と計画したので、余裕をもって出発。
早速、鳥の水で美味しい湧き水をゴクゴク飲んで、汲み足して、ボッカ。
ここからの尾根歩きも沢の詰めで良く歩いた見覚えのある場所。容姿端麗な釈迦ヶ岳までの岩稜帯をグングン進んでいきますが、やはり行けども越えどもあのピラミダルなピークに近付けません。
やはりフーフー言いながらやっと着いた時には、今回の行程で一番予定より大きく遅れをとってしまいました。
展望抜群の山頂で長めの休憩をとり、景色を堪能しました。ここまでは最も自然の造形美を味わえる場所です。
さあ、今日の宿はまだまだ先なので気合をいれて出発。
前鬼への下りとなる太古ノ辻からは、南奥駈けの始まり。石楠花岳、天狗山を過ぎるとここからははじめて歩く尾根。紅葉に染まった池郷川の深く長い谷間を見ながら軽快に飛ばしますが地蔵岳、涅槃岳、証誠無漏岳と小さなアップダウンにも体に堪えます。
持経ノ宿小屋からは、巨樹が多くあり笹が密生していて深山幽谷を感じさせてくれます。やっと平治ノ宿小屋に着いた時には、お腹すいた~っ!て、口をついてました。
 
この日は、小屋を独りで使用でき地図を広げて飯と酒を飲みました。
-----------   4日日     -------------
10月25日(火):平治ノ宿小屋6:02…(歩) …玉置山展望台16:40(約10時間半)
天候:晴れ・ガス 昼過ぎから小雨・強風
ボッカ:水2L、酒
 
熊野三山の奥宮玉置神社へは朝に参拝をしたいと思い、最終日の行動時間の予定が短いこともあり前夜、小屋で次の泊地を玉置山展望台に変更しました。しかしある失敗をして結局は行動時間が長くなってしまいましたが....。
 
今日は、水が少ないのと食料が減ってきてかなりボッカが軽く感じます。それでも整備されている行仙岳の階段の登り、笠捨山のガレの直登には苦しくまいりました。
笠捨山を下った葛川辻の水場で大休憩を取って頭から水を浴びたりしてリフレッシュしました。ここの水場が最後と考えて水5.5Lをボッカ。重たくなったザックを背負って、地蔵岳の前後のやせ尾根の岩場を通過していきます。貝吹之野の辺りは、植林が盛んなようでうっかり奥駈け道を外してしまい気がつけば眼下に七泰ダムが見えていて大失敗。1時間半くらいのロス。要因は植林・植林道・色んな印・ガスって視界不良とありましたが、ちょっと注意が不足していました。
稚児ノ森の先から奥駈け道は、綺麗に整備舗装されたアルファルト道と何回か合流します。
しかし今日は先の台風の影響か倒木も多く巻いたり乗り越し
たりするのに結構時間を取られたりで、結局予定のテン場に着いたのは同じような時間になりました。
 
今日の夜も一人の時間。夜は、寒気がはいった冷え込みで今回初めて寒さを感じました。またその寒気からの強風でテントがとばされそうでした。下山したら何を...と思いながら夢の中へ。
 
-----------   最終日     -------------
10月26日(水):玉置山展望台6:15…(歩) …熊野本宮大社…旧社地・大斎原の大鳥居の前14:25(約8時間)
          …(バス) …紀伊田辺駅…(電車)…自宅
天候:晴れ
ボッカ:水2.5L、酒
 
さあ、最終日!朝から強風と外気は冷たかったが、空は真っ青で気持ちが良い!
奥駈け周辺では珍しいブナ林のカツエ坂を歩いて早朝に参拝。 はやり平治ノ宿小屋で計画を変えて良かった。ぴーんとした空気が気持ちよく、巨杉たちに囲まれていて壮厳な雰囲気。
ここから特に玉置辻からは植林が増えてきてなにやらとても人臭い。時折、雑木や松林帯をあるくがやはり植林帯が多い。人と自然(神仏)・人と山・集落と集落・人と人・人と生活仕事が密接に結びついていることを感じます。
 
どんどん下りていくと、市民の憩いの場となっている風の七越の峯の公園。そして七越の峯から続く尾根を下って備崎経塚群を通過するとやっと新宮川の河原へ。新宮川を渉るぞと気合いを入れていましたがダム放流の濁流化した流れには逆らえず!
旧社地・大斎原の大鳥居の前で帰りのバスの時間まで過ごしました。
世界遺産となったここ熊野本宮大社も、台風の風評被害が大きく観光客は激減どころか全くのようです。
大きな駐車場はガランとして、多くの店は昼なのに閉まっていて、トイレ、足湯施設など公共の施設も閉鎖されていました。近くを通れば必ず寄りたいと思います。
 
 
主な装備
食糧
注意したこと

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