栗平川 ウオノ谷

Pocket

平成30年5月4日(金祝)~5日(土祝)1泊2日

メンバー:わらじ会員2名(シブちゃん、サッポロ一番)

シブちゃんのお誘いで本来なら別の某谷行く予定だったが、天候不良の場合のB案であるウオノ谷に当日変更となる。(天候悪化の可能性の低い南のほうが無難、ということもあるが、私が道を間違えて30分遅刻したことが主たる要因だろう。本当は怒っているのかもそれないが、人間ができているのか、シブちゃんはニコニコしている・・・)

実は、本来計画、某谷の長い歩行時間が軟弱な私にとって気がかりであった。「ウオノ谷って、某谷より易しい?」

「易しいと思う。Oさん(わらじメンバー禰庵さん)は10時間で日帰りした記録がある。」

ちなみにシブちゃんも行ったことがないらしい。歩くのが速いOさんのタイムは、私にはそのまま参考にできないが、1泊2日なら急がず歩けるだろう、と安心する。(今振り返ると、易しいか厳しいか、わずかな情報にすがってしまう自分は、いつまでたっても学習が足りないと感じる。)

【一日目】まったり癒し渓を期待して、晴天の下、出発。

嘗て集落があった谷とのことで、沢沿いには時折途切れるが杣道がある。しばらく歩いて入渓。

次々と滝が現れる。滝を高巻きして登ったところに集落の道跡が現れたり、また谷に降りたりして進む。

特に難所もなく、無事、幕営適地に到着。西ノ谷とウオノ谷本谷へ別れる二俣のすぐ手前に位置する。

本谷を溯行する予定なのだが、シブ隊長は西ノ谷も気になるようだ。私も西ノ谷から出合に流れ落ちている滝が、秀渓の入り口ように思えて気になった。

夕飯時までには時間の余裕がある。行先を西ノ谷に変更して、ウオノ谷本谷はここから日帰りで探索しようか、それとも西ノ谷を日帰り探索するか・・・

結局、計画書どおりに明日はウオノ谷を行くことにして、今日は西ノ谷探索に出かけることにした。

西ノ谷入り口の滝。ここはシブちゃんがリードで左岸を巻いた。ここから先、西ノ谷は期待どおり、いや、期待以上に素晴らしかった。

この滝はシブちゃんのリードで左岸を登る。

次は何が現れるのか、期待は途切れない。予定時間を過ぎているが、先へ進んでしまう。時間を気にしてか、シブ隊長の歩は速まっている。

名残惜しいが、切りがないのでシブ隊長に声をかける。「後ろ髪を引かれるわー」テン場へと引き返す。

テン場に帰ってからは焚火の準備。

二人で薪を拾い集める。簡単には燃え尽きない「大物」を探してくださっているのか、時々シブ隊長の姿は視界から消えた。私も微力ながら大物調達に努める。

薪集めが一段落すると、隊長が薪の仕分けを始めた。そして第1組の葉っぱ+小枝組を置き、着火。「順番が命やから」と隊長。私はまだ手を出さないようがよさそう。隊長は順調に燃えていることを確認後、その上に第2組のやや大きな小枝を積む。私もそろそろいいかな、と思って小枝を載せたところ、平行に積まれた他の小枝とはちょっとずれてしまった。すかさず「まだいいから」と隊長に制される。

火は順調に燃え、ほどなくして隊長のOKが出て、随時薪をくべていく。

各自、夕飯を作って食べた。隊長よりキューリスティックやチーズをいただく。ごちそうさまです。

【2日目】

隊長は予定時刻より早起きし、焚火を開始していた。私の準備が遅いことを見越して、全面フォローのお覚悟だろうか。すみません。

朝ごはん食べて、テン場撤収して、荷物詰めている間に(私は精一杯急いでいる)、余裕の隊長は焚火の始末まで終了。おかげ様で予定時刻に出発。

この先のウオノ谷も結構滝が多く、良さそうな予感。  

実際、滝が多い。現れる滝にシブちゃんは手をたたいて喜んでいる。滝が多いと、当然巻きもあるが、ロープなしの怖い巻きが続いたせいか私の心の電池は消耗していく。

やがて、左は本谷、右は別の谷(地図上に名前がない)と思われる二俣に着く。隊長は、水量の多い右の谷が本谷だ、という。

そんなものなのか?私は疑問を抱き、本谷と書かれてある地図通りに行かないか、と打診するも、隊長は右の無名谷を本谷と判断し行くことを提案。私はそれで下山距離が長くなると気にしていたが、隊長にとっては「尾根歩きが少し長くなるだけやん」と大したことではないようだ。

宙船シブ号、面舵いっぱい。

ホールド少ない、スタンス浅い、滑りそう、足場崩れそう、高巻き怖い、下るの怖い。サッポロ一番メンバーが「ロープ出して」と後ろから頼むが、隊長の歩は止まらない。

「行けるって。根っこも掘ってる。至れり尽くせりや」

そう言われて根っこを見ると、指をかけやすいように若干掘り返してくれている。でも根っこが細い、足りない、間隔遠い、確実な三点支持できてないのですよ。

状況をもっと明確に伝えなければ。「私、かなり無理してます」と言うと、解ってくれたのか、諦めてくれたのか、ロープを出してくれた。

また現れた滝を前に、高巻きへの恐れから「またか、もうお腹いっぱいやわ」と口にしてしまったところ、「そんなら、沢やめろー。これが沢の醍醐味やろー」と隊長に戒められる。あ、また言われた。前は「雨が降ったら岩が滑るから嫌だ」と言ったときだったな。スルーしておきます。

渓相は美しいが、高巻きや下りで心も体も硬直していく。どうにか隊長の読み通りの尾根に詰めあがった。さわやかな風と久しぶりの開けた風景に気持ちがやわらいだ。これで下山の途につける、と思ったが・・・。

地図上で傾斜が緩そうで最短、と思われる支尾根を下るのだろう、と思っていたが、ある地点から、隊長は目指す方向とは逆の方向に回り込んで行く。後ろから隊長に「そっち北やで」と声をかけるも、歩きながら何か説明してくれているようだが聞こえない。

ほどなくしてワイヤーも踏み後もなくなり、木が密生した急斜面の下りとなる。隊長は立ち止まって地図を見ながら「決めた、ここを下る」断言。決断に至った理由が何なのか、素人の私にはわからない。確かに、隊長はその日の朝、実際の状況を見て下山ルートを決める、と言ってはいたが・・・。

宙船シブ号のオールを握るのはシブ隊長。宙船シブ号に単なる下山はない。私の知らない間に「山行第2部」に入っていたようだ。

尾根を下りながら、私の集中力は既に切れ、足や手を置く順番がわからなくなってきた(かつ、自覚はないがかなり疲労していたのかもしれない)。「下りられない、もう無理、滑る、落ちる」と後ろから訴えながら、付いて行くしかない状況になっている。「これがバリエーションや」とか隊長は言っている。シブ隊長は山行第2部を楽しみにしていたのかもしれないが、私ごときには、「沢を詰めたら普通の下山」が相応しい。

しだいに「ここで一歩出したら落ちる」という不安感に支配され、進めなくなった。立っていることができず足を投げ出して菓子パンを食べたりしたが、その後も集中力は回復ぜず。

先を歩く隊長が「進めないならビバークするー?」とか言っている。それは嫌だ、家族が騒いでややこしいわ。

まんまと隊長の脅しに乗らされてどうにか下り、イヌイ谷に降り立った。そして時折途切れる杣道に迷いながらも、なんとか明瞭な杣道に出た。

テン場を出発してから、下山時間は10時間。(おそらく禰庵さんとは違う下山ルートだろう。)

ウオノ谷、綺麗だった。

西ノ谷も綺麗だった。下山で降り立ったイヌイ谷にも綺麗な滝があった。双方、どんな谷なのか気になるほどだ。

シブ隊長は最後まで元気で楽しそうだった。

総じて、すばらしい谷だった。私は頻繁にフリーズしてたが、おかげさまで無事に下山できて感謝してます。ギリギリだけどね。シブちゃん、いつもありがとう。

サッポロ一番

「栗平川 ウオノ谷」への9件のフィードバック

  1. 追伸。
    『溯行』19号のN地さんの記録によると、7:15見行地谷出合出発、17:30下山です。

  2. さりげなく、私の遡行時間(そんなのどっかに書いてたかな?)が参考にされていて驚きましたが、Y君とT女史(後のY嫁)とシーズン最初に行きました。このメンバーなら、そんなに急がなかったはずです。沢の思い出は忘却の彼方、、、途中で焚き火したような気がするけど、、、あと、3人で車の中で寝てたら、早朝に入漁権チェックのおじさんに起こされたのは覚えてます。

    1. 禰庵さん、こんにちは!
       お三人様とも歩くのが速いため敢えて急ぐ必要がない・・・ということでは(^^)
       朝、車で寝ておられた、ということは、前夜泊の早朝出発ですね。
       禰庵さんパーティーのコースは次のような感じでしょうか?
      山と高原地図上に「本谷」と記載されているほうを溯行しCo.1,192m付近の尾根に詰め上がる→尾根伝いに西へ進みCo.1,060mあたりに位置する分岐で尾根を南下→C0.996m付近を経てそのまま進む(尾根は南西方向に続く)→そのうちどこかで杣道に出る」 ・・・やはり忘却の彼方でしょうか(*^-^*)
       上記のコースを行かれたとしても、途中で焚火をして日帰り(日没前)で下山するには、かなり急がないと難しい(急いでも厳しい)と想像されますよー。やはり駿足。

      1. エアンさんは右又(本谷)溯行し、左又(西ノ谷)下降のルートだったと思います。
        エアンさんか行かれるよりもっと以前、大先輩のN地さんが、日帰りで行っておられますよ!

        1. ねあんさんの記録、わらじの会の旧ブログにありました。https://blogs.yahoo.co.jp/oosakawarajinokai/13579802.html
          その記述からは、禰庵さんは750Mで右又を溯行し、稜線に出られてから、西ノ谷ではなく750Mの左又(「親切な谷」らしい)を下降されて戻られたと読めますよ。

  3. ウオノ谷レポ有難う!
    初日は私の原因不明の腰痛でザイル背負ってくれて有難う!
    ひと晩寝たら復活したけど、回復しなかったら、杣道で下山も考えました。
    幸いひと晩寝たら回復したので、翌日は素晴らしい溯行ができました。
    もうちょっとザイル出して上げればと、読み直して後悔してます。
    単独であれば断念していたところも、
    パートナーがいるお蔭で登って楽しむことができました。
    どうも、有難う。
    これに懲りずにまた、ご一緒お願いします。

    1.  本来ならザイル担ぎは交代すべきところ、テン場到着後はシブちゃんにしてもらい、私こそ今回もお世話かけ通しでした。ビレイと支点回収をなんとかやって付いて行く程度ですが、またよろしくお願いします。まずい、と思ったら本能に従いフリーズするけどね。

      1. Sapporo ichiban さん
        じっくりレポ楽しく読ませていただきました。
        このレポ読んでいて、ウオノ谷西ノ谷、行きたくなりましたよ!

        1. cozyさん、コメントありがとうございます。
          ウオノ谷西ノ谷、奥ゆかしくて、ウオノ谷計画優先とはいえ、引き返すのは名残惜しかったです。いつか行きたいと私も思いました。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。