大峰 十津川・湯之谷 


湯之谷・最初の滝10m。

左側を直登。
 天気予報は、文句なしの雨のようだ・・・そういう時にと、「雨の谷リスト」というものを作成している。わらじの古い記録を見て、再トレースの報告の(ほとんど)ないを選んだものだ。
 
 そういった谷は、大概は溯行価値のない凡谷が多いのだが、しかし、トポを見てみると「何で行かれないだろうか?」と不思議に思うものもある。ガイドブックやネット上で複数ヒットする谷は、誰もが認める名谷や秀谷であるのは確かだ。それらを差し置いて、わざわざ行くまでもない、ということも理由の一つなのだろう。大峰・台高のほとんどの谷に行った者くらいしか、敢えて足を運ぼうとは思わないのかもしれない。
 しかし、当時の状況(例えば、流域が伐採されて谷が荒れていた)や、溯行者によるちょっとした誤解(谷を間違う)などで、「溯行価値がない」とレッテルを張られてしまったた為に、(私たちにとっては幸運以外の何物でもないが)幸か不幸か、不遇の境地に置かれてしまった谷も少なからずある。そんな不運な谷の一つに、今回行った十津川・湯之谷も挙げられるのだろう。
     二つ目の滝、15m。
     左側をザイルを出して登る。
 湯之原トンネルを抜けた先で、旧国道に入る。十津川は風屋ダムからの放水で、茶色に濁っている。目指す湯之谷は、ガイドブックにも紹介されている蟻之腰谷より一本下流から入る十津川左岸の谷で、入口には立派な建物が建っていて、谷はコンクリートで整備された水路となっていた。
 かつてはセメント工場だったらしいが、現在は、紀伊半島大水害の復興施設となっている。これを見てしまうと、溯行意欲が萎えてしまいそうだが、過去の記録を信じて、兎に角、行って見なくては始まらない。
3つ目の5m滝は右側を登る。
 準備をして、コンクリートの水路が終わる所から入谷すると、さっそく10mの滝のお出まし。左側からシャワークラ直登が楽しめて、「幸先いい感じ♪」。
 
 その上にはすかさず15m滝。頭が堰堤となっているが、見ないようにして、ザイルを出してコージのリードで登る。右岸側にはフィックスや鉄杭なんかも見えるが、無視!
 次は3mの滝で巻くのは簡単なのだが、ここも直登する。コージが最初のワンムーブに手古摺っていたが、何故か私はすんなりこなして滝の上へとトラバース。「ムーブだな、ムーブ!」。この上の堰堤は直登できないので、右岸を巻いた。
                  12m滝。
 堰堤の上は、再び谷はコンクリートの水路となって続いていた。今も立派な取水口があって、もしかしたら、この谷の水は平瀬の温泉に使われているのかもしれない。"湯"之谷の謂れはここから来ているのかな?
 ここを過ぎると、15m滝が現れて、右側から取り付いて直登する。この滝の頭もコンクリートで固められた堰堤となっていて、その上に更に堰堤が続き、導水管も目につくが、2m、12mと滝が現れて、息つく間もない。
     頭堰堤2m滝と12m滝。
 12m滝の上は河原となっていて、左岸には石積も見受けられて、仕事道があるようだ。しかし、それも束の間、行き合いのように両岸狭まった先には淵を持った滝が見えて、ゴルジュとなる。
 躊躇せず、泳いで手前の小滝を越えると、大きな釜を持った4m滝が掛かる。コージが先頭を切って取り付くが、岩が脆いのと、ホールドが外傾していて、見た目以上に悪く、右岸のテラスに逃げることになった。
 2mを越えると、これも大きな釜を持った5m。躊躇するコージを余所目に、私は泳いで5m滝に取り付く。「登れるよ!」という合図で、コージも泳いできて、私がもたつく間にさっさと登って行ってしまった。
「リーチが足りんねん、お助けだしてっ!」。
     ゴルジュ最後の5m滝も泳いで直登する。
 5mを越えると、またもや堰堤の登場。ここでゴルジュを抜けて河原となる。巻いたら、あっと言う間に通り過ぎてしまうところだが、敢えてその空間に足を踏み入れてこそ、楽しめる。人臭さ満載の谷だが、そこに如何に楽しみを創造できるかは、溯行者の能力次第なのだ。
 右岸から滝の掛かる枝沢を見送ると、朽ちた桟橋が谷を横切る。しばらく河原を歩くと、二又となり、そこから谷は傾斜が増して、ゴーロ帯となる。退屈なゴーロを我慢して登って行くと、右岸から20mの滝を掛ける付近から滝がちらほら現れる。そして、またもや枝沢の滝か?と思ったら、谷が左折していて、そこに20mの滝が掛かっていた。正面に
続くのはルンゼだった。

      谷が左に曲がるところに掛かる20m滝。

     20m上の幅広8m。

 20m滝はセオリー通り、正面のルンゼから巻きに掛かり、途中でバンドを辿って頭に出た。20m頭はナメとなって続き、気持ちの良いところだったので、ここで休憩することにした。すぐ目の前には8m滝が控えていた。休憩後、8mを左岸から巻く。
      20m滝。
 8m滝を巻くと、ゴーロとなるが、それも束の間、20m滝の登場から再び連滝帯となる。20m滝を左岸から巻くと、上部はナメとなっていて、釜を持った5m滝まで続いていた。ここから、小滝とナメが連続して掛かり、どんどん登って行く。樹林は深いが、その葉を叩くまで、降りがキツくなってきたが、そんなのは全然、気にならなかった。
小滝とナメを連続して掛ける。

二段15m滝。

 ひとしきり小滝が続くと、比較的大きな二段15m滝が現れる。この滝は、下段を直登し、上段は右岸のルンゼから巻く。巻くと、上部はナメとなって続いていて、ガスで煙った先に、更に大きな滝が掛かるのが眺められた。ナメを駆け登って行くと、そこに30mほどの滝が掛かっていた。
30m大滝。
 それは、湯之谷最大の滝であることには間違いなかった。両岸が草付のスラブとなっていて、直登もできそうに見えるが、コージが乗り気でないので、右岸から巻くことにした。
 それにしても、下流部のゴルジュに、中流部の連滝帯、そして、源流部に入って、こんな大滝にお目に掛かれるとは・・・。なかなかどうして、埋もれさしておくのは、勿体ない谷である。大滝上でお昼をした後、詰めに入った。
源流の連滝。
 大滝の上は、ルンゼ状に滝を連ねる。奥の二又で、左又に入ると、水もめっきり減って、谷も荒れた感じとなる。右手の尾根に逃げて、アンショウ山の山頂を目指すことにした。頭上に鉄腺を見上げると、尾根上にはテープの目印もあって、そこから山頂までは直ぐだった。
 アンショウ山は周囲を植林に覆われた、冴えない山頂だ。
 さて、ここから下山をどうするか?だが、計画では南に伸びる尾根を辿り、816m地点から破線の道を武蔵の集落へ下ろうと考えていたが、ガスが掛かっていて新しいルートに不安があったので、昨年、蟻之腰谷に行った時に使った尾根を下ることにした。
 北東へ964m地点を目指して下り、そこから東に伸びる尾根に入る。ここから、ルーファイが難しく、コンパスと地図で絶えず確認しなければならない。677m地点まで尾根を下った先で、昨年は蟻之腰谷右岸に伸びる仕事道目指して、南東に派生する枝尾根を下ったのだが、その地点を見逃してしまい、コルまで更に下ってしまった。
 戻るのも面倒なので、そこからクン谷目指して下り、クン谷沿いにある仕事道に出ることにした。この仕事道、明瞭なのだが、一ヵ所だけヌケていて、巻き下らねばならなかった。仕事道から見下ろすクン谷も、滝が続いていて、なかなか面白そうだった。フェンスを潜り抜けると、無事に旧国道に出ることができた。
【日程】  2015年9月6日
【場所】  大峰 十津川・湯之谷
【地形図】  「風屋」「十津川温泉」
【天気】  雨
【メンバー】  シブ&コージ
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