宮川水系大杉谷西ノ谷源流から別の源流(H谷)へ

2021/10/24  segawa単独

川上辻から筏場道を辿り、源流を下降、西谷橋から更に谷を降り、左岸に出会うH谷を源流まで遡行。台高縦走路に詰めて周回してきた。

日曜日。紅葉で喧騒の大台ケ原駐車場から筏場道に入るともう貸切り。それだけでも幸せな気分になる。金明水で水を補給してコブシ峠の先の下降点に到着。大好きな苔と古木の源流を西ノ谷に向けて降り、水が生まれて太くなりやがて西ノ谷との出合い。左岸の森を伝うとすぐ西谷橋。

林道には上がらずに歩き易い沢沿いの森をH谷出会いに向けて延々と降りる。

 

前回は西谷橋から林道を使った。大変な資本と労力を投下しただろう林道も、もう二度と修復できないくらい荒廃していて、自然に還りつつあった。人々の欲望を山奥まで運んだこの山域の森林鉄道や林道を、易々と自然が呑み込んでいく様は、強い印象を与える。

人間が何をしても痛くも痒くもないくらい、自然は強靭だと思う。持続可能性とかなんとか人が上から目線で唱えるほど、自然は弱くはない。地球にすれば持続せずに速やかに滅びてもらいたい存在こそが人間だと思う。滅びることは必ずしも悪いことではない。

そんな不謹慎な思索に浸れるくらい穏やかな河原の森を出会いまで進む。

出会いからの連瀑がなければ、H谷の森はほんとうに危うかった。平坦で広々として使い易いH谷の原生林は、早々と伐採・植林されていただろう。林道が大きく回り込んでH谷の上部に達し、上部からの伐採の手が伸びるその前に、何度かの林道崩落で、伐採計画は頓挫したんだろうと想像した。H谷の原生林が残ったのはそういう奇跡だと思う。

数個の小滝は越えていける。やがて視界が広がり、H谷の深奥部に入り込む。滝場を越えるという行為だけで、美しい森はさらに美しく、占有できた気になる。なんだろう。

二俣にある最高のテン場で適当に昼寝。山での昼寝は寝過ごすとちょっと大変やけど、こんないい森で昼寝しないのはもったいない。時間の感覚はなかったけど、適当に起きることができた。

成熟した原生林は植林よりも視界がきく。動物に観察されていることがよくわかる。

重い腰を上げて遡行を再開。H谷は源流部までずっと穏やかで優しい。

稜線は台高縦走路ならではの複雑なもので、何度か迷いそうになりながら筏場道まで戻った。

川上辻に出るすぐ手前の斜面で、クマに会った。彼も驚いたようで、切れ落ちた崖を黒いゴム鞠のように一気に谷底まで降り、振り返り目を合わせてきた。その速度は、落下速度に近い。それでも落ちずにしっかり走っていた。想像もつかない筋力。山で生きるとは、そういうことなんだろう。勝てはしないと思った。すぐ目の前が喧騒の大台ケ原ドライブウェイだった。

H谷。また再訪したい谷が増えた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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