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2025年8月22日(金)~24日(日)
メンバー(敬称略) シブ&コージ、カズレーサー、KM2(記)
<序>
越後の沢といえば、雪渓、草つき、スラブ、アプローチが長い、などなど、とにかく厳しい点が多いが、良い沢揃いなので、いつかそのうち沢を熟達したら行きたいなぁ、と思ってグダグダと人生を過ごしているいるうちに時間が経ってしまっていた。
この度、シブ&コージさんが越後の沢のメン募をされているのを見て、これはチャンスと情報をあさってみたところ、登攀要素があまり無い、下流部は泳ぎメインという情報を得て、気合を入れて参戦させて頂くこととなった。
<アプローチ>
21日夜
京都付近の集合場所を19時半に出発、名神、北陸道、関越道を延々と走り、朝3時半頃に銀山平温泉白銀の湯に到着。
途中まで私とカズレーサーさんで交代して運転していたが、午前1時頃に2人とも燃え尽きてしまい、一番しんどい運転を大先輩のコージさんに任せてしまうという失態をおかしつつ、とりあえず現地に着いた。
<1日目>
22日
白銀の湯からアスファルト道を歩き坪倉沢に降り立つ。
アブはやや出る程度でひどくは無い。
坪倉沢の淵を覗くと大きな岩魚が走るが、禁猟区のため釣り装備はなく、鑑賞のみ。
坪倉沢を5分ほど下ると北ノ又川。
本流らしく水量は多いが、水の量からは想像できないほど水が冷たい。

1時間ほど歩いて岩魚沢出合いを過ぎると沢は一気に狭まり、箱淵となる。
いよいよ全員全装備を身につけて泳ぎ始める。
ちなみに装備はコージさんが上下ブラックメタリックスとウェット上着、ウェット半ズボン、シブさんが上下ブラックメタリックスとウェット上着、カズレーサーさんは上下ブラックメタリックスと上雨具、KM2は上ブラックメタリックスと下はモンベルウェットという装備で、箱淵は全員があまり寒さを覚えることなく通過出来た。
ただ、ウェットの手袋をつけていたKM2以外は水の冷たさで手の痛みを感じたようだったので、手袋もウェットにした方が無難かもしれない。

<箱淵>
流水の勢いが強く、先に泳ぎ着いた私がフローティングロープを投げて突破、すぐ先には反転流の釜を持つ斜爆があるのでコージさんのリードで右岸を突破。

滝ハナ沢付近は穏やかな流れで、出合いも穏やか。渇水のようで、箱淵を除き泳ぎはほぼ無かった。
いかにも雪国な沢の風景の中をどんどん進む。

芝沢出合いは中洲のようにも見える特徴的な地形。それを超えると大ビラヤス沢出合いまで、小滝を巻くことが多くなる。
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<芝沢出合>
大ビラヤス沢出合いは右岸から淵に滝が落ち込んでいるので、泳ぐのを諦めて左岸から巻く。最初の一歩がやや悪かった。その先も小さな滝や淵をかわすために何度か左岸巻きする。
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坂倉沢を越えたあたりで、まさかのスノーブロック出現。1日目にスノーブロックが出て来たらかなり大変やね、という話をしていたので、緊張が走る。
スノーブロックの上に上がろうとコージさんがステップを切っていると、轟音と共にスノーブロックが崩落。
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それ以降、誰もあまりスノーブロックに近付かなくなった。
2条の滝を右岸から、その先の滝を左岸からそれぞれ巻くと、シッカイ沢出合いに到着。平坦な河原に山のような焚き木があり、快適であった。

私としては前回のリンチョウ沢の反省から、軽量化を図ってツマミも酒もほとんど持っていかなかったが、他のメンバーは控えめながらも、ビールやらツマミやらをたくさん運び上げてくださっていて力の差を見せつけられた気がした。
前夜の長距離運転で疲れたため、19時頃には就寝した。

<2日目>
23日
雪渓処理、標高差から行程の厳しさが予想される日。
テン場すぐ前の小滝を登るとすぐ、2段斜瀑。
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滝の右岸の端をよじ登ると、大きな階段状の幅広滝があり、沢幅も広がり、美しい。でも内心、いつ雪渓やスノーブロックが出るのか、ヒヤヒヤしながらの溯行となる。

細い流れの滝を越えると円形の劇場のように沢が大きく左に曲がるが、そこを全て覆い隠すような巨大なスノーブロックが出現。とうとう出てしまった。

右岸から左岸に巻道を変えて、チェーンスパイクをつけて草つきのトラバースを始めるが、絶対落ちられない高度でノーロープで草つきのトラバースをせざるを得ないパートなので、メンタルがすり減った。
ただ、チェーンスパイクを使うのは私は今回初めてだったが、その効果は絶大で、草や土にスパイクがよく絡んで、全然滑らないのには驚いた。
沢が左に屈曲するあたりで水を補給してさらにトラバースを進め、岩壁混じりの樹林帯を上がっていったが、先が見えないのに自信を持って岸壁の木をよじ登ってどんどん進んでいくコージさんと、それにビシビシ指摘を入れるシブさんの息のあった沢の進め方には本当に驚いて感心してしまった。
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尾根上は激ヤブだったが、木がある安心感であまり疲れは感じなかった。
結局素晴らしいルーファイで、懸垂もなしに、ルンゼに降り立つことが出来た。
ルンゼの下に降り立つと、さっそく泳ぎのパートが出てくるが、雪渓でキンキンに冷やされた水を泳ぐために装備を整えて進む。
泳ぎを終えると右から白いもやのようなものが漂い、スノーブロックかと冷や冷やするが、右から10mほどの滝が落ちていた。
右岸巻きで越える。
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滝を越えると少しだけ河原があり、再度スノーブロックだらけのゾーンへ。
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スノーブロックや雪渓は、川の端が分厚く、川の中央は薄くなっていること、上流と下流の末端はそれぞれ薄くなっていること、など、歩き方についていろいろとシブ&コージさんに教わることができて、とても勉強になった。
シッカイ倉沢出合付近からついに雪渓が沢を覆いつくすようになり、安定して歩けるようになった。
この辺りから沢は滝沢と名前を変える。

雪渓の上は溯行スピードが圧倒的に上がるが、やや、単調でまぶしすぎる。
そのまま淡々と雪渓上の登高を続け、北から入る枝沢へ。
ここは出合に大きな滝があるようなのだが、ほとんど雪渓に埋まってしまっており、右岸のボロイ壁を登攀して沢に入った。
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少し進むと1405付近に再度大きめの滝。
こちらも雪渓に埋まってしまっていたため。巻きのとりつきが容易になっており、左岸からスムーズに巻くことができた。
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黙々と雪渓の登高を続けると、1660の二股。

ここは左は明らかに悪そうなので、右に進む。水があるか不安であったが、右股にも水が流れていた。
右股に入ってすぐに各自2~3Lの水を汲み、水浴びをしたり、たらふく水や行動食を口にした後は、いよいよ稜線への詰めに入る。
右股はちょっとしたボルダームーブが必要となる段差はあるものの、危険はほとんどなく、体力勝負で稜線に上がることができる。

振り返ると越後の山々が美しい。
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15時頃に山頂着(最初の写真)、そこから10分ほどで避難小屋。

避難小屋内は快適で、難局を乗り越えたことを祝って宴会。

宴会を終え、日暮れの稜線でカズレーサーと二次会。
ガスが出たり流れたりする黄昏時の高山の稜線で、沢のこれまでやこれからについて、あれやこれやと話しを続け、途中、ガスが切れて、天の川も現れて、それを見ながら過ごした時間は、間違いなく幸せなひとときだった。
<3日目>
24日
稜線をはるばる越後駒ケ岳に向けて歩く。
笹で滑りやすいうえに檜廊下付近は落ちられない箇所も多く、ペースは上がらない。
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とはいえ、西側の大スラブの景色を楽しみながら、また、その付近にある険谷を遡行してきたシブ&コージさんの話を聞きながらの縦走はしんどいながらも楽しかった。
オツルミズ谷の源頭でもある駒の小屋の水場で水分補給をして、小屋で乾杯。
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ここからはシブさん先頭に一気に下降していく。
下降とともに気温もぐんぐん上がるので熱中症にも注意しつつ、水をかぶったりしながらどんどん下る。
北ノ又川にたどり着いたころには熱中症一歩手前で、冷たい川の水で生き返った。
最後に坪倉沢を少し遡行して車道へ。無事溯行が終わりホッとしたところで、我々の前を親子の熊が横切る。。。
少したって、再度親子熊が横切り、全員が凍り付く。お父さん、お母さん、お子さん二人、という熊の家族構成のようだった。
全力で笛を吹いたり、バイルやナイフをかざしたりしつつ、無事、熊に襲われることなく銀山荘にたどり着くことができた。
銀山荘は駐車地すぐ前が温泉で、快適。
温泉で3日間の疲れと汚れを流した後、魚沼インター付近の道の駅で、新潟タレカツ丼を食べて帰った。
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今回も、間違いなく一生の記憶に残る、厳しいながらも充実した沢だった。
参戦させてくださった、シブ&コージさん、カズレーサーさんに感謝。
また、大人の夏休みの時間をくれた家族にも感謝したい。
<行程>
22日
7:00銀山平温泉~8:15箱淵~10:00滝ハナ沢出合~10:30芝沢出合~12:00大ビラヤス沢出合~15:30泊地
23日
6:20泊地~9:00大ヒカバ沢出合~10:00シッカイ倉沢出合~14:45稜線~15:20中ノ岳避難小屋
24日
6:30避難小屋~9:30越後駒ケ岳~12:30北ノ又川~13:10駐車地
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最初の雪渓の写真、GCっぽく見える~ チェーンスパイク良さそう、値段も安いし!
さっそく、レポ有難うございます😊
箱淵の突破お見事でした👍
次は、越後総決算とも言える大渓谷ですね😉
レポありがとうございます😊。私も一生の思い出になる渓谷溯行になりました。つぎは、いよいよジャンプですね!楽しみにしています。