屋久島 大川

201594-7
 
屋久島の沢に行ってみたくて、遅い夏休みを取って、単独でも遡行できそうな大川に行ってきた。
 
一日目
 
高速船で安房港へ。港のすぐ近くのスーパーの中の観光案内所で計画書を提出。バスで大川の滝へ。
 
大川の滝は簡単に高巻けそうだが、観光客の目の前で一人で不審な行動をする勇気は出ない。林道を歩き沢と接近したところで入渓。簡単に沢に入れるが、水量が多いようで、荷物も重いこともあり、進むのに苦労する。

単独なので渡渉に慎重にならざるを得なく、良い場所を探すのに苦労する。軽く泳いで渡渉する場所もあった。
沢のそばに獣道が走っている場所も多く、面倒な場所は大いに活用して距離を稼ぐ。しかし、そのおかげでヒルに一匹、それも靴下の上から咬まれてしまった。
日暮れが近づいてきたころ泊。
夜は満天の星、屋久島の沢と星空を独占しているような気分になり、贅沢な気分を味わう。
15:30 入渓/ 18:00

二日目
今日も良い天気。古い記録にある、吊り橋は見当たらなかった。3連チャンのナメ滝とそれに続くゴーロ滝を超えると上大川橋。
基本的にゴーロをひたすら歩く感じだが、時折、ナメや美しいプールが現れ、気持ちをほぐしてくれる。

この谷のハイライトのゴルジュの滝は美しく楽しんで通過できる。ゴルジュ出口の連瀑は高巻きとなる。

午後になると、昨日からの疲れと荷物の重さでペースが落ちる。林相がこれまでの南方系の樹木から屋久杉へと屋久島らしく変化していき興味深い。
夕方、Co1270mの二股先で右岸に良い天場を見つける。あと1ピッチか2ピッチで登山道と交わるところまで行けそうだが、良い天場が見つからずに日暮れとなったら困るのでここで泊まるとする。
明日は天気が崩れそうだけど、午前中、なんとかもってくれたらいいな~、なんて都合の良いことを考えるが、日付が変わるころに激しい雨が降ってきて起こされる。さすが屋久島、バケツをひっくり返したような雨で、しばらくすると水たまりのテントの中で浮いているマットにのっかている感じになる。トイレついでに沢の様子をみると、なんだか恐ろしいことになってそう、、、無事に帰れるのかな~ やはり沢はどこかでドキドキさせてくれる!

7:30 / 8:40 大川橋 / 16:20 Co1270m

三日目
沢はもう目いっぱい増水して、昨日はせいぜい膝くらいだった水量が濁流と化している。落ち着いて、なんとか今日中に鹿ノ沢小屋に辿りつけばいい、くらいの気持ちであせらず進もうと出発する。(予定は淀川小屋か石塚小屋)
幸い、もう上流まで来ているので川岸も急ではなく、鹿の作った道を利用して、右岸を進んでいく。鹿さん、ありがと~♪ 思ったより、すんなり進める。こういう経験は2年前にも美濃谷でしたな~
やがて、右岸から入る小沢にピンクのテープが現れる。もしや、ここから登山道に上がれるのかと尾根に上がってみるが道が見つからない。焦るのは良くないと沢に戻ると、どうやら、すでに登山道みたいで、これで無事に小屋に行ける!とほっとする。
しかし、ほっとしたのもつかの間、登山道は沢と交わることになっている。渡渉点にロープが張ってあるが、濁流をチロリアンブリッジで渡る勇気は出ない。確保してくれる人がいれば、なんとか渡渉できたかもしれないが、、、





右岸から巻こうとするが途中から大巻きになりそうな感じで先も分からないので断念する。いつ雨も止むか分からないし、今日中に水が引いて渡れるようになるか分からない、、、なんとか今日中に鹿ノ沢小屋に辿りつけば、と思っていたのに、一番予想していなかった永田下山になるのか?
地図を見ると永田までかなりかかりそう。とりあえず、途中でビバークかな?マンガ地図には桃平展望台というのが近くにあるので、そこで休憩できればと向かってみる。しかし、展望台設備的なものはなにもない。さらに進むと、立派な岩屋が現れる。これはいいやと大雨をよけて避難する。下山の長さを考えて、雨がよけられるここで泊まることにする。なお、雨は午後1時を過ぎると次第に収まってきた。



シュラフは絞れば水がしたたり落ちるほど濡れている。コンロで少しでも乾かして寝るが、寒くて2回起こされた。そのたびにコンロで再び体とシュラフを温めて寝る。深夜、大雨の音を聞くが岩屋のおかげでこれ以上濡れなかったのは幸いだった。

7:40 / 9:10 登山道 / 姥ヶ岩屋 泊

四日目
小雨の中、下山。結構、登山道は分かりにくく、ピンクテープがなければ道は分からないだろう。道のように見える小沢や鹿道が交わっていて、ややこしくなっている部分もある。屋久島で登山道から外れてしまって遭難する人がいるのもうなずける。
下山するにつれ、青空が見えてくる。途中で永田の海が見えて感動。林道に出たところで、悪い予感がするのでヒルチェック。標高が低いとヒルが多くなるのか、2匹に被害を受ける。さらに、靴の中に2匹のヒルがいた。
永田に降りて、砂浜に出る。正面は真っ青な海、背後は永田川の河口。近くに、ロープで仕切られた区画があって「ウミガメの卵がたくさん埋まっています」という看板。





誰もいない砂浜、なんだか信じられない。濡れた装備を砂浜に転がっている丸太の上に並べて乾かす。海の波が荒いので、永田川河口で一泳ぎして汗を流した後、うたた寝をする。朝までずぶ濡れで震えていたのに、太陽が眩しすぎる、暑すぎる。
バスの時間が近づいたころ、ウミガメに起こされる。玉手箱の受け取りは固くお断りして、宮之浦へ。濁流に巻き込まれてたら、玉手箱を開けてたかもしれない。

姥ヶ岩屋 7:30 / 12:30 永田


【投稿者: 禰庵(ねあん)】

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