自作ハーケンを作ってみた。
見本にした市販ハーケンはBD社のモノ。
材質はクロモリ。クロブモリブデン(SCM)だ。鉄の一種だと思う。
性質は強く。衝撃吸収力に優れるそうだ。なるほどハーケンに使用される訳だ。
また自転車のフレームにも使われる。特有の「しなり」が良い乗り心地となるようだ。
しかし、クロモリは入手できないので他の金属で作る事にした。
やはり鉄だ。SS400かSPCCなら使える。
SS400のほうが強いイメージがある。SPCCは柔らかく粘りがある感じだろう。
更にステンレスではSUS304が使える。SS400より更に固いイメージがあるが限度を超えればポッ!と言ってしまいそう。
今回の場合はSS400が最もクロモリの性質に近いんじゃないだろうか?と予想した。
しかし、そもそも金属について正しい知識は持っていないので何が正解か分からない。
でも何はともあれやってみないと分からないので3つの材質で作ってみた。
シッカリと採寸して板厚から形状から寸法からなるべく近づけてみた。
テーパー部はグラインダーを使って手作業で仕上げた。
知り合いにも色々と手伝ってもらって出来上がったモノがこれだ。
紐が付いてるのがBD社のモノ。右が自作ハーケンです。
見た感じは中々に満足のいくものに仕上がった。
さあ!では。沢に持って行って、打ってみよう!
比良 八幡谷にて、O野さんと試してみた。
まずはステンレスからいってみる。
その辺の岩に適当なリスを見つけて打ち込んでいく。
出だし割とグイグイと入っていって、後半は高い音がキーン!キーン!と鳴り響いた。「おっ!効いてる!効いてる!」O野さんと大いに盛り上がってしまった。
顎までシッカリと食い込んだハーケンを見ると達成感があってコレだけで満足しそうだ。
次に問題の強度だ。もし滑落とかした時は体重の何倍もの力が加わるのでココは十分に荷重を掛けたいところだ。
ザックをシュリンゲに付けて放り投げた…しかし軽過ぎてテストにならない。
次に自分の身体をシュリンゲで繋げてぶら下がる。オッケーぶら下がれる。更に軽く浮いてから一気に加重してみる。ビクともしない。何度もしてみる。ビクともしない。
テスト終了~
いささか簡単な気はしたが、O野さんと協議した結果
「コレはイケますね。」という結論に達した。
そしてハーケンを抜いてみた。
みるとかなりグニャグニャになっている。市販のBD社モノはビクともしていない。硬さの差は思った以上に有るようだ。
そして、このグニャグニャ自作ハーケンは一回しか使えない事もわかった。
今回、自作ハーケンを5本持って行って、テストで1本、実際に直登する際に3本使って1本だけそのまま持って帰った。
3種類の材質で作ったが、どれも殆ど同じ結果に終わった。
市販のモノとは硬さが歴然と違っている様だ。
テスト遡行から戻り、金属の事を少し調べたり聞いたりしてみた。
まず詳しい人に聞いてみると、クロモリは相当に硬いらしい。焼き入れ等の熱処理をしたら今回試した金属とは比較にならないそうです。
自分でも調べてみた。
まず、材質の硬さ。硬さを表す数値(ブリネル硬さHBW)では
クロモリが269~331HB(SCM435熱処理後)に対し
SUS304は187HB
SS400は120~140HB
SPCC-SDで115HB
となり、やはり倍ぐらいの差があった。
しかし更に調べてみると・・
※ただ、硬いからといっても、必ずしも強い金属というわけではないのが難しい点で、「強度」「硬度」「耐性」はそれぞれ別のものです。
※金属材料を扱う上では、硬度が重要なことは言うまでもありませんが、硬度のほかにも、衝撃に耐えたりするには靱性(粘り強さ)も大切。
(※は別サイトから引用)
などグニャグニャハーケンがあながち悪いモノではないようにも思ってきた。
わらじの皆さんにも見てもらおうと自作ハーケンを集会に持参した。
皆んな興味深く見て取ってもらい色々と意見してくれた。
やはりグニャグニャに曲がった事がマイナス要因では無く「コレで良いのだ」的な意見が多かったのには少し驚いた。リスの奥まで入っていき逆に抜けにくい様だ。
確かに抜く時は結構苦労した。
軟鉄ハーケンとしては安全性にもさほど不安はないようだ。ただ仕上げが荒いので細部まで面取り処理をしないとシュリンゲが直接掛けられた場合は切れてしまう危険がある。とかアドバイスももらった。
結局、自作の軟鉄ハーケンを作ったのだ。考えれば山道具屋に行けば500円ほどで売っている代物なのだが・・色々と勉強にもなったし、また改良して作ってみようようと思います。 (記:ぺちぺち)
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