台高・東ノ川中揚谷〜大蛇谷

6月28日、精鋭メンバーで大蛇谷を溯行してきた。大蛇谷はあの大台ケ原・大蛇嵓に沿う形で入る谷である。かつては大蛇嵓を志す、数パーティーによって溯行されたことがあるようだが、その詳細は明らかでない。

大蛇嵓を目指すにあたって、沢屋としてはまず大蛇谷を溯行しなければならない。アプローチは開拓者と同じく中揚谷から東ノ川へ。駐車場を夜明けと共に出発。

一度だけ懸垂下降したが、順調に東ノ川へ降り着く。しばし、休憩後、今度は東ノ川を下降し、大蛇谷出合を目指す。

巨岩帯を巻き下り、対岸に聳える岩壁群に胸を時めかす。予定通り、大蛇谷出合に到着。しかし、痛恨のミスを犯していた!

 

渋い滝の突破の後(実は簡単に巻けることが判明)、標高800m付近まで、この谷を溯行していた時にGPSを見たメンバーが、隣の谷に入っていることに気付く!!行き過ぎて、チイノ木谷を溯行していたのだ。…どうしよう?ここまで来て引き返し、再び大蛇谷を溯行する気にも今更ならない。

地形図を眺め、大蛇谷へ何とかトラバースできないものか…?しかし、間には岩壁記号が要塞のように立ち塞がり、急峻なルンゼが入る。しかし、どこか弱点があるだろうということで、大蛇谷へのトラバースを試みる。

読図や獣道、メンバーたちの嗅覚をフル動員し、岩場を縫って岩稜をルーファイし、上手いこと大蛇谷右俣に降り着くことができた。左俣はゴーロの谷で容易に二又へ。真正面には大蛇嵓がそびえ立ち、皆、大興奮!!

大蛇谷二又にて。

ようやくここから大蛇谷の溯行。左俣本谷にはまず20mが掛かる。左岸から少し巻いて、上部のスラブ15mは直登する。ここまでは、明るく開けた谷で、大岩壁を見上げての溯行に気分は上がる。

20mの直登。

しかし、谷は次第に岩壁の懐へと入っていく。左岸のみならず、右岸も険悪な壁が迫るゴルジュへ。チムニーやCS、ヌメッたスラブ…次から次へと手強い滝たちが出迎える。

 

どこをどう登ったかなど野暮なことは書かない。ここに来た者が見い出せばよい。そして、とうとう通行困難なCSに行く手を阻まれる。幸いなことに、左岸側にブッシュが見えるので、そちらから突破口を図ることにした。

左岸は急峻な笹薮で、スリップすれば奈落の底へ。幾度となく、足をとられながら前進し、そんな中、落石でノブリンの足を負傷させてしまう。痛み止めをすぐに服用したものの、かなり痛かったと思う。しかし、黙って彼はついてきた!

ようやく稜線に辿り着いた時には日暮れとなった。オレンジに染まる空の端と暗がりに沈むの山腹。そして満点の星空!ヘッデンに遊歩道が照らされた時には、皆から歓喜の声が上がった。

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