白見谷の下山後は、川湯の公衆浴場に行って汗を流し、再び道の駅に戻ります。近くのスーパーで購入した「さんま寿司」をアテに缶ビールを開けました。
【場所】 南紀 三越川・外和谷
【日程】 2012月5月6日(日)
【報告者】 シブ
翌朝は4時半に起き、トーストを食べた後、さっそく国道を十津川方面へ車を走らせ、三越川沿いの道に入ります。
斜面はところどどころ崩壊が見られ、台風12号の被害を伺わせます。そして、道が右岸から左岸に移り、もうすぐ奥番の集落というところで、突如、道がなくなってしまっていました。
道の先には空に半分基礎が出ている家屋があり、その対岸には大規模な崩壊跡が見られます。どうも奥番の集落はその大崩壊に飲み込まれてしまったようなのです。
仕方がないので、そこで車を停めて準備を始めました。斜面を登って行く迂回路が作られていて、それを辿っていくと集落内の小道に出ました。そこから再び三越川沿いの道に戻り、30分ほどで外和谷出合に掛かる橋に到着することができました。
谷はやがて廊下となり、右に左に目まぐるしく蛇行し、何かでてきそうな雰囲気。しかし、小滝を掛けるだけで大した悪場もなく、随分永い間、退屈な溯行が続きました。
もういい加減うんざりしてきた頃、深い釜を持った5mの滝が現れます。左岸からは滝を掛けた枝沢が、その釜に注いでいました。ここは、直登はやっかいそうなので、左岸から巻くことにしました。
そこから堰を切ったように滝場が連続し、直登やへつりなどで超えて行きます。滝の大きさに比べて深い釜が多く、初泳ぎとなったところもありました。それにしても、この谷の岩はもろくて、掴んだ岩が剥がれたり、足を置いた岩が崩れたりして、私は三度も落ちてしまいました。まぁ、私が雑だったのですが、大した怪我はありませんでした。
両岸の斜面は土壁のように立っていて、谷は薄暗い廊下帯が続きましたが、綺麗な斜滝を超えると開けて、明るい河原となりました。日差しを受けた水面がキラキラ輝いて、心も弾みます。
谷が大きく左に曲がったところに三本、左岸から枝沢が入ります。石垣を見送ると、三段の滝が現れ、そこに両岸の架け橋になっている、アーチ状の岩があって、その下を水が流れているという不思議な光景が見られました。この三段の滝を超えると、谷はガランと開けて、この谷最大の滝が谷巾いっぱいに四条の水の流れを落としていました。
この滝は右岸から巻くと、簡単に頭に出ることができました。滝の頭からの風景は素敵で、対岸の山並みを眺めながら一服しました。「ああ、来て良かったな・・・」と、“すずカステラ”を頬張りながら、しみじみ思いました。
しかし、ここから先が、外和谷の真骨頂が始まります。大滝を越えると、谷はゴルジュとなって、これでもかというばかりに滝と淵を連ねます。比較的大きな20m滝は右岸から高巻くことになりましたが、出てくる滝のほとんどが直登やトラバースで超えることができるので、面白くてなりません。
谷間にトタンの破片やワイヤーを見掛けると、前方にコンクリートの壁が見えてきます。這い上がってみると、林道が横切っていて、この先にも外和谷はまだ続いているのですが、平穏そうなのでそこで溯行を打ち切ることにしました。
林道を終点まで歩き、そこから小沢を渡って続く踏み跡を辿ります。途中で、尾根へと登る踏み跡が分岐したので、それを辿っていくと、稜線に出ました。この稜線は外和谷の左岸にある尾根で、奥番の集落に向かって南に伸びています。後は、この尾根道を辿るだけです。
羊歯類のブッシュが欝しくなると、奥番の集落まであとわずか。集落の守り神なのか、石仏が祀られている祠を見送ると、石垣跡をたくさん見掛けるようになりました。
主を失ってから随分経つような廃屋の合間を抜けていくと、狛犬の立つ神社の前に出ます。出た所は行きしな通った道で今回も無事に下山できたことを感謝するように神社に向かって頭を下げました。