台高 銚子川・不動谷小谷小屋谷

 前日は、摺古谷本谷を溯行し大滝を見物した後、国道169号線をさらに南下し、42号線に入って尾鷲に向かい銚子川を目指しました。
 
 事前の情報では白倉林道は荒れていて発電所までしか車で入れないとのことでしたが、整備されていて、清五郎橋まで何と入れてしまいました。そこで、この日はここでテン泊し、翌日、不動谷(小谷小屋谷)を溯行することにしました。
 
     不動谷・清五郎滝
 
【日程】 2011年11月27日(日) 前夜発日帰り
【天候】 曇り時々晴れ(最高気温9℃)
【メンバー】 シブ&コージ
【報告者】 シブ
 
 土曜の朝は、池原では零下まで下がって、沢の準備をするのは億劫でしたが、今朝の冷え込みは大分マシなようです。上空には薄雲があって日差しがなかったのですが、渓流シューズの紐を結ぶ指先が悴んできません。見上げると、鉛色の空に厳めしい岩塔が、要塞のように聳え立っているのが見えました。
 
 橋桁から沢床に降り立つと、谷には巨岩が累々と積み重なっています。それらの大岩をチムニーや、時にはショルダーなどを交えながら次々と乗り越えて行きますが、清五郎滝までもう間近というところで、とうとう谷中を進んでいけなくなってしまいました。そこで、左岸から巻いていると、不意に目の前に清五郎滝の雄大な光景が飛び込んできました。遥かな高みから段を打ちながら水流を流れ落としています。100mはゆうに超えているのではないのでしょうか。
 
 
 左岸のルンゼから高巻きに入ります。ルンゼには階段状の滝があって直登しますが、抜け口がちょっと微妙です。ここは左右に逃げることもできるようです。
 
 その上の小滝を登ったところで、清五郎滝側に向かってトラバース。岩場に出たところで、ザイルを出し、1ピッチで、最上段の滝前のテラスに出ました。
 
 最上段の滝は、ウォータースライダーのように水が飛び出ています。ふとみると、対岸のテラスに標識が建てられているのが目に入りました。下山時、知りますが、上の林道から清五郎滝を観賞する遊歩道が、どうも付けられているようなのです。
 
 最上段滝は、左岸のブッシュ帯を小さく巻いて、滝の頭に出ることができました。頭からはあちこちに岩塔が屹立する銚子川流域の険しい風景を見渡すことができます。大滝上は植林も見られる平穏な河原で、そこで一服することにしました。
 
 
 
 
 
 右岸沿いにはトラロープが張られていて、どうも次の滝を観賞するために、遊歩道から伸びているようです。
 
 そうこうしている内に、40m滝前に到着。末広がり状の端正な直滝といった風情です。この滝は第三の大滝と言われ、出合の大滝が第一の大滝、清五郎滝が第二の大滝だそうです。ここは、右岸を巻いて越えました。
 
 40mの滝を越えると、右岸には林道から伸びているガレが無残な姿を曝していました。しかし、その先には思わず息を呑んでしまうほど美しいエメラルド・グリーンの淵があって、小滝を掛けていました。
 
 谷が右折するところで、広い釜を持った15mの滝が現れました。釜の前は広場のようになっていて、右岸から枝沢が入っていました。
 
 釜の対岸に見えるルンゼから巻き始め、途中でバンドを斜上していくと、滝の頭に出ました。滝の上はゴルジュ状になっていて、巨大なCSが出口を塞いでます。しかし、右岸の岩場をトラバースして行くと、CSの脇から抜け出すことができました。それにしても、垂れ下がっているロープが、興をそがれます。上下に林道があり入り易いせいか、この谷には本当、残置物が多かったです。振り返ると、岩塔が見え、谷はこの岩塔を回り込むように大きく蛇行してるのが分かりました。
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
15mの滝
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
その上のCS滝
 
 
 
 CSを超えると、河原になっていて、テントを張るのに丁度いい台地なども見られます。二本の枝沢を右岸に見送ると、釜を持った美しい4mの滝があり、右岸を小さく巻いて超えました。
 
 4mの滝を超えると滝の頭からナメが延々と続いているのが見えます。ひたひたとナメを登って行くと、谷は不意に右に折れて右岸から二本、枝沢がナメとなって入っています。谷はガランと開けて、まるで舞台の上に立っているようで、枝沢のナメはスポットライトのように光を反射させながら谷へ降りてきてました。
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
美滝4m
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
この谷ハイライトのナメ
 
 
 
 
 しかしながら夢舞台はここまでで、不意に幕は閉ざされてしまいます。河原になると両岸には植林が見られ、ごく平凡な谷の姿に変わってしまいました。しばらく溯ってみましたが、大したものは出てきそうにないので、ナメの終点まで戻って、右岸の小尾根を登って林道に出ることにしました。
 
 林道を水無峠方面に向かってしばらく歩いていると、清五郎滝と書かれた看板が目に入りました。大滝のテラスで目にした標識まで滝を観賞する遊歩道が整備されているようです。ここから清五郎滝に向かって北に伸びている尾根上にきっと道があるのでしょう。下山ルートは、この尾根の東にある、ちょうど白倉林道のトンネル上部に向かって北へ伸びる尾根を下ることにしました。
 
 
 植林帯の緩やかな尾根をずんずん降りていくと、標高600mを切った辺りで急に立ってくるので、東へトラバースして行きます。
 
 小さな沢を2本横切り、なだらかになったところでさらに3本目の沢が入ってきたので、それを下っていくと、林道上部に出ました。林道へは数メートルの壁があってそのまま下っていけないので、立ち木にザイルを掛けて懸垂下降で林道に降りることにしました。
 
 林道を歩いて行くと、すぐにトンネルが現れました。私たちが降りたのはトンネルより下流にある滝の掛かる枝沢だったようです。
 
 トンネルの入り口のところから谷に向かって、不動谷の出合に掛かる第一の大滝への遊歩道が伸びていたので、「見にいかへん?」とコージに聞いてみると、「面倒臭い!」と断られてしまいました。
 
 
 「次来た時は、絶対見にいこなっ!」と、約束を取り付けるのにやっきになっているうちに、清五郎橋に到着しました。
 
 

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