沢でたき火して一泊するねん 6/4~5 垣外俣谷右股

こんにちは、近野です。
すっかりシーズンインして、報告が間に合っていません。

 

2022 6/4~5 垣外俣谷右股
わらじの会に所属してから、初の沢中たき火泊。

沢屋たちの間では、沢中たき火泊は特別な何かがあり、「たき火」と聞くだけで慕情が湧き上がる、萌えイベントのようだ。

ところが私、正直言って、たき火に特別な感情を抱いていないです。
今まで何度か沢中たき火泊したんだけど、あまり覚えていなくて。
むしろ、火を使うと言うと、BBQのイメージで。
服が臭くなって、次の日まで鼻の奥に油くさいケムリがこびりつく嫌な記憶しかない。

たき火なんかせず、ガスバーナーで湯を沸かして、ドライフードでご飯食べるほうが楽でないか?と思うのですが、そんなことを口にしたら、たぶんテープスリングでムチ打ちの刑なんだろう。

今回、久々にたき火泊してみて、実際は沢でのたき火はほとんど煙臭くならなかった。
むしろ、沢の水に浸かって汗まみれになったfinetrackからの悪臭のほうが強烈です。
日中、沢の水に浸かった後、日が落ちると身体が冷えてくるので、たき火の温かさは有難いもので、今回、沢のたき火はそんなに悪いヤツではないと認識できました。

photo by N-GAY

まぁ、ガスバーナー寄りの気持ちも少し残っていますが。

正直、私は、たき火よりも2日目の下山でバテないかに気をとられてばかりいました。
下山は、尾根沿いにミニピークをハントしながら、徐々に標高を下げるルートで、地形図上では優しい表情をしていたが、実際はどうなるか。
とにかくここ10年の私はヘタレる一方なので、体力不足がいつも心配なのだ。

 

垣外俣谷右俣について
垣外俣谷は「カイトマタダニ」と読む。
「垣外」は、近畿では「ガイト」と読み、そのほかの地域では「カイト」と読むようですが、三重では「カイト」と「ガイト」が混在していて、近畿と中部の境界エリアにふさわしい状況となっています。

地形図と地質図を重ねると、宮川ダムから北に延びるこの沢の最初の二俣に、石灰岩エリアがまたがっている。地質図どおりに石灰岩があるなら、洞窟ができているかもしれない。
宮川ダムのある大台町は、洞窟ができやすいエリアなのです。
これは行くしかない。

よく思い出したら、以前ここは行ったことがあったのですが、記憶があいまいだったし、地質図上の石灰岩のエリアしか見てないはずなので、やっぱり上流まで詰めて、周辺の様子も確認したい気持ちになったのでした。

ちょうど、シブちゃんも、周辺ではその沢だけ行ったことが無かったとのことで、ぜひ行きましょうとお誘いいただきました。

ネット上での記録は少なく、でっかい滝やゴルジュなんかも無さそうです。
シブちゃんは「今日は癒し系だ」と言ってましたが、ストイックなシブちゃんにとっての癒しは他の人にとっては癒しじゃないような気がして、かえって不安になります。

 

一日目の行動時間短すぎた問題
天気予報によると、2日目の午後遅めから雨雲が広がるようでした。
2日目午後3時には下山している予定だったので、雨の心配はせずにスタートしました。
メンバーはシブ&コージ、N-GAYさん、Mムラさん(会外)、と私の5名です。

Mムラさんとコージさんは、数十年の付き合いだということで、終始、幼なじみのように仲良さそうなやり取りをされてて、なごみました。
シブ&コージは、いつもの丁々発止のやりとりです。
N-GAYさんも私も無口なタイプなので、会話を回す人がいるとありがたい。

宮川ダムのダム湖北端からしばらく林道を歩き、そのまま林道を歩いて行くと、枝沢を越えるのが面倒ということで、水位の下がったダム湖へと降りた。ちょうど本流と支流の分岐あたり。そのまま本流に沿って川原を歩いていく。

スタートが8時半と遅めだったので、すでに日差しは高く、幅数十メートルの広い川原にちょろちょろと水が流れるだけの本流沿いは日陰が無く、ほとんど傾斜が無いにも関わらず歩くのがつらい。
地質図に出ていた石灰岩エリアには特に見るべきものもなく通り過ぎ、その後も歩きながらきょろきょろするけれど、めあての石灰岩は見られない。

photo by N-GAY

最初の二俣から30分くらいで、ようやく川幅が10mくらいまで狭まり、水量も増えて、沢らしくなってきた。
一ヶ所小さい滝でびしょ濡れになれるが、あとは無理せず登っていける。

photo by N-GAY

しかし、とにかく暑い。
予定のテン場は、二つ目の二俣457mを過ぎたところ。なんと昼前に着いてしまった。
全員歩くペースが早くて、けっこう休憩しつつ、のんびり登ったのに、3時間で初日終了。
このまま登ってしまって、日帰りでもいい気がしたけど、初めての沢で、どうなるか分からないということで、予定どおり今日はここで終了となった。

 

薪集めのtips
テントを張るのにちょうどいい、広い平らな場所をうまく見つけた。そこには昔、家があったようで、石垣や割れた茶碗など人の気配が残っている。
各自、テントを設営すると、今度は薪集めだ。
周囲にたくさん木があるので、すぐに大量に集まった。
シブちゃんは、ザックの中身を空にして、歩き回りながら空のザックにギュウギュウに薪を入れて来た。
さすが。背中に生け花のように薪を生やして歩いてくる姿はワイルドでかっこ良い。
さっそく私も真似して、バックパックに、薪を入れることにした。
これだと両手が自由になるので、石灰岩が無いか探しながら歩けるので楽しかった。

薪集め放題

長い午後をやりすごした後、暗くなり始めたころにシブちゃんがご飯を炊いてくれて、いろいろとおかずをふるまってくれた。続けて、N-GAYさんが豪勢な焼肉をごちそうしてくれた。
おかずは各自用意すると言われていたので、最低限の食料しか持って行かなかった私は、気まずい思いをしつつも、腹いっぱいになりました。

夕食のあとは、とりとめもなく世間話をして、シブ&コージは前夜遅かったとのことで8時ごろに就寝。あとの3人も10時にはおとなしく眠りにつきました。

 

傾斜きつめ岩大きめは嫌い
翌朝、特に時間は決めてなかったけど、たぶん6時ごろには全員起きて、コージさんの炊いたご飯を食べていたと思う。
たき火で炊いたご飯がおいしくて、ほとんどおかずがなくても満足。

ベストコンディションで挑む2日目。
スタートしてすぐに、垂直に切り立った滝が現れ、ルートに迷いながらも、左岸側から巻き上がる。


滝の上は少し平たんになっていたので、ここもテン場にできそうだった。
滝を過ぎると水が減っていき、大きな岩がゴロゴロ転がりはじめた。傾斜きつめで、岩が大きく、一つ一つよじ登って乗り越えないといけない。
今まで元気だったのに、急激に体力が消耗する。
ペースがた落ちの中、沢は終了し、いったん尾根に上がり始めるが、この詰め上げもしんどかった。

 

フェルトソールで落ち葉の尾根沿い歩きは恐る恐る
尾根に上がった後、小ピークをたどりながら、大回りしてスタート地点に戻った。
落ち葉が積もった、幅の狭い尾根をフェルトソールで歩くと、ツルツル滑る。
滑りながら下っては、また少し上って次のピークへ、何度も繰り返して、最後のピークにたどり着いたころは全員すっかりお疲れさん。
コージさんは、なぜかこの暑い日に、ヒートテックのタイツをはいていたことを打ち明けて、全員の哀れみを誘った。

 

N-GAYさんの笑顔を見れてよかった
最後のピークから、スタート地点めがけて斜面を下っていき、目的にしていたとおり、入渓地点にあった枝沢に到着した。
沢を離れてから、ずっと暑い中上ったり下ったりしていて、ようやく枝沢の水流にありつき、みんな喜んで水浴び。
いつも寡黙でポーカーフェイスのN-GAYさんが、会心の笑顔で水をかぶっているのを見て、こっちまでうれしくなりました。

帰りはみんなで奥伊勢フォレストピアの温泉に寄り、さっぱりして解散しました。

 

知らないうちに蛭被害に
帰宅すると腕時計の下あたり、虫に刺されたような跡が。
翌日には腫れてきて、どうやら蛭の被害のようだ。
いかにも蛭が出そうな沢だった。

蛭と言えば、おすすめの一冊。
好奇心いっぱいの小中学生が、ヤマビルの生態を調べつくす、感動の研究書です。
彼らの地道な努力を知った今、もう蛭が木から落ちてくるとか、鹿が運んでくるとか、安易に口にできません。

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5件のコメント

  1. またまた渾身作!!有難うございます〜

  2. いやー、しっかりと楽しかった溯行を思いだしました。
    女性2人して、背中に薪を背負った姿たのもしいに尽きます。
    焚火ご飯は、これまでで一番の炊きあがりで、満足いただけてありがとうございました。
    焚火での食事内容は、グレード低中高で表すと、今回はもちろん高でした。N-GAYさんの焼肉もありましたからねぇ。低は、近野さんの想像以下です、たぶん。
    そしてこのエリアに奥坊主谷というのがありまして、そこは石灰岩質で大和谷からの出合は全く水がないんですよ。溯行したことがありますが、近野さん視点なら、洞窟が発見できるのでしょうか。

    • 奥坊主谷を探したのですが、見つからないです。COZYさんたち、よく登山マップを見ておられるので、そういうのに出てるのでしょうか。

      • 奥坊主谷というのは、多分、川崎さんによる仮称です。地図には水線も引かれてません。でも、大和谷右岸最大の谷で、大滝上から水が流れます。この界隈の石灰岩地質の影響か?と川崎さんが言ってます。奥坊主谷や大滝については私のブログに書いてますよ。

  3. ノストラカマス

    テープスリング鞭打ちwww