名渓「仙の倉谷 西ゼン」へ誘われたので、行くことにした。
あまり沢に詳しくないので、そんなに有名とも知らず。
同行は、定番の元会員ノストラカマス氏と、カマ友のritzさん。
ritzさんは、某有名な積雪情報サイトを構築したというサイバーインテリジェンススキーヤーなジェントルマンです。
入渓までの平標新道が長いというのはネット情報で読んだので、覚悟はしていた。だが、その後のことは何もわかっていなかった。
登山道の途中から入渓し、西ゼンにたどり着くまでの仙ノ倉谷は、これといった滝もなく平凡。
まぁ、名渓とか言っても、こんなもんか。と密かにガッカリしながら進む。
ネットの記録で見たようなナメ滝が登場したあたりで、ノストラカマス氏が「ここから先はテン場が無いだろうから、戻って、手前で泊地を探そう」と言う。
このときまだ11時前。
いくら何でも早すぎる、もう少し進もう。とゴネるが、相手にされず、カマス氏とritzさんはそさくさとテン場を決めて楽しそうに整地し始めた。
暇なので少し釣りをしたけど、魚影も無かったし、何も釣れない。
カマス氏は昼前から酒を飲みはじめ、明るいうちに酔っぱらってツエルトに引っ込んで寝てしまった。
これが初めての沢泊というritzさんは、カマス氏のノコギリで薪を作るのに夢中だ。たぶん、帰ってすぐにノコギリを買うだろう。
5時くらいになると、私も眠くなってきて、寝ることにした。
大阪から群馬に向かう深夜バスの中で、ツエルトで体を伸ばして寝ることだけを楽しみにしてきたのだ。
夜、外でカマス氏とritzさんが話す声がする。
ritzさんが持ってきたスパムを焚火で焼いて、二次会を開催していた。
重たいスパム缶を持ってきてくれたのだ。なんというジェントルマン。
スパムを焼くために、あんなに頑張って薪を作っていたのか。こらまたジェントルマン。
さらに、ritzさんは、空の星がきれいだと、さりげなく星座の名前も言ったりする。ジェントルマンが過ぎるのでは?
ジェントルマンなritzさんに一方的にもてなされ、二次会を終えて、ふたたび眠る。
夜中には気温がぐっと下がり、11度まで下がったあたりで、薄手のシュラフカバーではガタガタ震えてきて、レスキューシートを追加した。
翌日は、西ゼンの本番。
前日、遠くに垂直な滝が見えて、「まさか、あそこは登らないよね」と思っていたところが西ゼンだった!
延々と続く、微妙に滑るスラブ滝にコテンパンにやられた。
登っても登っても絶景の滝が現れる。
ここで滑ったら、下までずーーーーっと落ちていくのかと想像し、振り返ると、来た道の絶景に驚愕。
記録を良く把握してきたritzさん(ジェントルマン)によるナビゲートで、藪漕ぎが少ないというルートを選び、昼過ぎに平標山の山頂に到達した。
平標山の山頂には、小ぎれいな登山客が何組もいた。みなさん、キレイな衣装で、泥一つ付いていない。
当方、水浸しで足も上がらない状態です。
山頂はガスっていて寒かったので、急いでハーネスを外して下山する。
下山は平標新道。
登ってきた谷の真横の稜線を歩くルートなので、今登ってきた西ゼンが一望できる。
山頂より下は天気が良く、紅葉した山々の雄大さ、美しさと、西ゼンの険しい岩肌に目が釘付けだった。ズタボロで登ってきた後には、なおさら美しく見える。
三人とも、景色の良い尾根を通るたびに歓声を上げて、写真を撮りまくった。
なんぼなんでも、同じような写真やろうと思いつつ、撮っていた。
私は登山で見るキレイな景色とかには、さほど興味がないのですが、紅葉とのコラボレーションで、今回はまんまと、いわゆる名渓の罠にハマってしまった気がする。
帰り道、駐車地まであと1時間弱というあたりで、カマス氏が
「ちかちゃんのザックは形がおかしい」と言い出した。
実はこれは、いつも言われるのだけど、私のザックは20年くらい前に買った古いやつなので、今のかっこいいザックとは違って見えるのだと思っていた。
しかし、この日はカマス氏が、どうしてもザックを直したいと言って、ritz氏と二人で私のザックのおかしいところを分析し、雨蓋とショルダーベルトをつなげるテープが外れていることを解明し、直してくれた。
そしてなんと、お二人が直してくれた後、ザックのフィット感が数倍に上がった。
ホップステップしたとき、ザックが左右に揺れる感じがなくなったのだ。
いつからこのテープは外れていたのだろうか分からないが、お二人のジェントルマンのおかげで、この後1時間弱の下山がかなり楽になりました。めでたし。
西ゼンはいつか行ってみたい谷の一つだけど、ナメばかりで飽きるかなと、決定打にならずに今まで来ました。チカちゃん絶賛なら、やはり行ってみるべきか!
https://youtu.be/8OjfWkOOux4
楽しそうな整地動画
今回も楽しい溯行が伝わってきて行きたくなりますね、そして端々に散りばめられる言葉のアクセントが面白い!尾根から見下ろす雄大な景色、この時期の紅葉、最後のご褒美に同感です!
コメントありがとうございます。
誰にでも勧められる名渓でしたー★
ritzさんには、ブログに書いても良いと許可もらったので、たくさん登場してもらいました!