メンバー REDEYE氏、妖精(記)、わんこさん(会外)、K沢さん(会外)
冬場にすっかり登攀モードになって、マルチピッチ、大滝登攀、シャワクラ、と春から数本の沢登りを経てようやく沢モードに切り替わってきた妖精です。
時間が経ってしまいましたが、先月末の三滝渓での、千丈滝、白糸の滝の登攀について。
振り返れば、去年の8月(全フォローの)大滝デビュー(天瀬谷/ほしやたわ滝)、沢での初リード(栗平川/見行地谷左又)を経験してからまだ1年経っていなかった。
これは少し慣れてきて事故が多くなる時期の様な気がするので再度スポーツルートと、沢の径との違いを意識して褌を締め直す。(不確定要素に対するバックアップを意識したホールディング≒3点支持、カモシレナイ運転で。)
核心をリードしない大滝登攀はそれはホンチャンじゃないヤンと、毒づいていたエセ登攀モードから考えを改め、否、全ての登攀の、全ての遡行の全パートに意味があり、即席や、体験山行関係なく、その時のパーティーはひとつの生き物となってその日その時だけのラインを描く。(一期一会)
そう考えるようになってからどんな遡行からも学ぶ事は莫大なにあると気づき、メン募にはどんどん参加しようという心持ちになった。
そんな中、自分の大滝デビューからザイルを伸ばし続けてくれているREDEYEの兄貴からのお誘いで鳥取は三滝渓へ千丈滝を登りに行く事となった。
パーティーはREDEYE氏のパートナーであり、関西の沢ヤ界で今最も勢いのあるSクラブからわんこさんと、岡山から最近沢をはじめたというK沢さんを加えて4名。
元々、三滝渓の大滝登攀はREDEYE氏とわんこさんが数年前から計画しており、2度、足を運んでは、雪や土砂に遮られ足踏みをしていたという。
今回3度目の正直という事でその、パーティーに加えてもらえた事はとても有り難い。
前夜はわらじOBの大先輩ダニーさん宅にて激ウマスパイスカレー(バスマティライス!)をご馳走になった。
駐車地より、装備を整えて。
いよいよはじまる三滝渓、大滝登攀。
ハイライトである千丈滝の手前にある門滝も登ろうということで滝見道よりそそくさと入渓、ゴーロを行く。
しばらく進み、さあいよいよ門滝かという所で先行する釣り師の姿が。
わんこさんが話しを聞きに行くと魚止め(門滝)まで釣り上がるという。
我々が追い抜いていくと上流部を荒らしてしまう事になる。
門滝登りたかったが、こればかりは仕方がない。
その地点から滝見道へと巻き上がり一旦脱渓。
進んでいくと赤い吊り橋の奥に千丈滝が見えてきた。
橋の袂から懸垂下降して再び入渓。
門滝の落ち口(百丈渕)へ降り立ち、トイ状を越える。
直下から千丈滝を見上げる。
プロテクションが取れずランナウトすると記録にもある1P目のスラブはREDEYE氏がリードする。
わんこさんビレイのもと登攀開始。
やはりプロテクションが取れないままロープを10m、15mと伸ばしていく。
15m程のところでREDEYE氏の動きが止まる。
イメージしたラインとムーブを現場にて擦り合わせている模様。
支点の工作がまだまだ勉強中の自分はランナウト気味に登ってしまうことがあるが、人のランナウトを下から見ているのは心臓に悪い。
実際、直下の3人は支点が取れるまで一言も喋らずに登攀中のREDEYE氏を見上げていた。
去年から沢靴をモンベルのサワタビ(ラバーソール)にしてからその足裏感覚に惚れ込み、サワタビとたわしの組み合わせに絶大な信頼を置くようになっていたが、この時ばかりはフォローといえどもこのラインは完全にフラットソールで行かねばと思いながら見上げていた。
が、なかなかに苦戦を強いられているREDEYE氏を見上げ続け、時間と共に、否、これはサワタビでラインを変えて登ろうという結論に至った。
トップでラインを自由に描く時、世界は自分と壁だけになって(ゾーン)そこに登攀の魅力がふんだんに詰まっている。去年初めてトップを経験させてもらってそう感じるようになった。
今回のREDEYE氏の登攀の様子も少し羨ましいような憧れのような気持ちで見ていた。
そしてそこでは普段からのトレーニングや生活、登攀への想いなど多くの蓄積を垣間見ることになった。
人の登攀で感動できるようになった事も自分の中では成長した点だと思う。
REDEYE氏は独自のラインを描き1Pを登きった。
そしてフォロー3名は引かれたラインを無視してサワタビで水線際を登るのであった…。
2P目、わんこさんから行く?と打診あったのでリードさせてもらうことに。
1P目終了点の立木からスラブをトラバースして水線際をシャワー浴びながら直上。
REDEYE氏渾身の登攀に1Pでもリードで加われて嬉しかった。
わらじに入会した時には考えもしなかったところを登っているなと他人事のようにふと思った。
千丈滝上部は左俣の横谷の滝と流れが合流する地点でロープいっぱいとなり手前でピッチを切った。
千丈滝上部は鎖がついている。
立派なCS、奥に不動滝。
ここは時間を考えて今回は巻く。
白糸の滝
こちらはK沢さんビレイのもとわんこさんのリードで。
わんこさんもサワタビとたわしの組み合わせを駆使して登る。
フォローで登っているとちょうど足を置きたい場所がピンポイントで磨かれていて(滑りが取られていて)それが道のように続いている。リーチが違うのでちょくちょくスタンスを磨いて足しながら登る。
ほぼほぼわんこさんが登ってしまったがロープが足りなかった最終ピッチをK沢さんがリードで登る。
自称ゆるふわハイカーのK沢さんも自覚無くも、すでに沢ヤという生物になっている。
白糸の滝から上部は穏やかな渓相となり、崩落した橋桁の跡から踏み跡を辿って下山した。
今回もとても学び多き遡行であった。
ありがとうございました。
私は今もリードしなければ本当に登ったことにならないと思ってます。今まで行った谷は、コージがリードしなければ登れなかった所ばかりなんですが。
その考えの極右(極左?)は、ソロでなければ、本当に登ったことにならない、ということでしょう。ビレイヤーの問題は、単独登攀システムで解決できるはずだから。誰かを一人、必要とするのは、やはり弱さからかな?と思います、ソロするのと、多数で谷と向かうのとは全然違うと実感します。
しかし、合理性ということでは、単独より、能力の異なる2、3 人とパーティ組むのがいいのかも?と、思ったりもします。色んな諸能力が結集して、ある一つの谷に向かう時、相乗効果というのか、不思議なパーティの力を感じたりもします。
スーッと頭に入ってくる素晴らしいレポ、読み応えありました。文字として表してくれたこと、本当になるほどと納得するところありました。