リンチョウ沢

2025年7月26日(土)~29日(火)

メンバー(敬称略) シブ&コージ、カズレーサー、juku、KM2(記)

 

アルプス深南部の沢を溯下降し、幻の大滝を経て、百名山の光岳に至る。。

自分以外のメンバーにとっては2年越しの念願の溯行に幸運にも参戦することができた。

1日目

池口川登山道奥林道~1300m二股

初日は軽めの行程。
釣りでもしながらのんびり歩きかと思いきや、前日の雨で水量は多く、薄濁りで、また、最初の堰堤左岸巻きが意外と悪く、先行きが思いやられる。
河原もハイスピードでかっ飛ばすので序盤からやや息切れ。
小滝が出てくる1,000メートル付近から釣り始めるも、魚影は薄い。
流れが強いので、岩陰にエサを粘り強く投げ込むとようやく釣れ始め、尺イワナもかかった。


ちょっとしたゴルジュもありつつも悪場はなく、1,300の出合の左岸側で幕営。
釣り上げた尺岩魚2匹の刺身で乾杯、岩魚の焼きがらしに舌鼓を打ち、幸せな夜を過ごす、、はずが、17時頃から雨。

すぐ止むでしょ、と無視して焚き火をしていたらとんでもない大雨になり、いったんタープに撤収。
止んできたかと再度焚き火に集まると、再度大雨になり、皆ずぶ濡れになってしまい、着替えのないメンバーにとっては遭難一歩手前の寒い夜を過ごすこととなった。。

2日目

泊地~右俣(湯沢)~池口岳の南~池口岳南峰から東に延びる尾根~ダルマ沢~ダルマ沢・リンチョウ沢二股

前日、大雨により右股、左股と交互に茶色に濁っていた沢は元の色に戻っており、少し安心。
ガスで火を沸かしてラーメンの朝ごはんを済ませて出発。
最初は小滝の連続で、1箇所懸垂で河原に降りる箇所があった。
沢が左に折れるあたりで大きめの滝。
ここは下の淵を突っ張りで越え、上の大きな滝は右岸から小さく登ることができた。


その後はグングンと高度を上げ、ガレてきたあたりでふと携帯を見ると電波が入っていたので、適宜現状を連絡。
右岸尾根に乗り急登を上げていくが、池口岳付近の岩盤が立ちはだかる。斜度は45度程度で、私はヨレヨレゼーハー意識朦朧。コージさんは、カズレーサーさんと談笑しながら素晴らしいルーファイで、巧みに弱点を突き、池口岳南の尾根に乗り上げることができた。


次は、尾根を少しだけ南に進み、南峰三角点の少し北から東に伸びている尾根に乗る。
最初は急な下りであったが、途中、傾斜が緩やかになった付近では踏み跡もあり快適。ダルマ沢付近は再度急な下りとなり落石を何度も落としてしまった。
ダルマ沢は下降向きの穏やかな沢で、小さな滝はいくつか出てくるものの、容易に巻くことができた。
2日目も夕方に雨の予報が出ていたため、極力水に濡れないルート取りで、猛烈な速さで沢下降。
途中、平茸を取ったりしつつも良いペースで進み、無事、リンチョウ沢とダルマ沢の二股にたどり着くことができた。


二股付近は平らで広い河原となっており、薪も大量に転がる天国のようなテン場で、太陽も顔を覗かせたので前夜に濡れてしまったものを乾かしつつ、薪を拾ったり、釣りに行ったりして休むことができた。ちなみにリンチョウ沢に魚影はなく、全く釣れなかった。

懸念していた雨もほとんど降らず、シブさんが調理してくれた平茸、その他沢山のつまみを頂きつつ、穏やかな夜を過ごすことができた。
私とjukuさんは翌日の行程が心配で心配で、大丈夫かな、いや、jukuさんなら大丈夫ですって、いやKM2こそ大丈夫やろ、というようなあまり意味のない会話を20回ほど繰り返して寝た。

3日目

泊地~リンチョウ沢ゴルジュ~ヒカゲ沢~幻の大滝~2,000m二股付近

記録のほぼない沢で標高差も大きく、厳しい一日となる予感。緊張の中出発。
しばらくは広い河原。1500辺りから両岸が一気に狭まり、ゴルジュ。


入り口の2mほどの滝を越えてゴルジュに入るも、滝が連続している模様だったので、ゴルジュの入り口まで戻って右岸から巻き。
下の方の斜面は浮石だらけで、みんなで、この辺ウキウキです!という嬉しいのかよくわからないコールをかけ合う。
河原が見えるあたりまでトラバースして最後は懸垂して終了。


河原に降りてすぐ、右から地味な枝沢が入っており、それがヒカゲ沢。
ヒカゲ沢に入ると、すぐに大滝の姿が見え隠れする。


前衛の10m滝は右側の泥斜面から簡単に越えられる。前衛を越えるとすぐ、巨大な滝が姿を現した。
最上段は直瀑で、その下に3条の斜爆が連なっている。写真で見るよりも立っているように見えて全く登れる感じがしないが、コージさんに登りたいかきくと、即答で登りたい、という答えが返ってきて、気持ちの熱さに驚いてしまった。自分が参加しておらず、もっと少人数なら登っていたのかな、などと思ってしまった。
滝鑑賞を終えたら次はこれを乗り越えないといけないが、両岸共に壁が立っていて厳しそう。

成瀬さんは左岸巻きであったようなのだが行ける気がせず、我々は左のルンゼから右岸巻き。

最初は急登だが途中大滝の頭を目指して右に寄っていく。1箇所ロープを使うところもあったが、壁に阻まれ撤退。戻って今度は激悪の薮壁をコージさんのリードで進んでいく。
途中シブさんが持っていた藪が抜けて滑落したり、私が落石をjukuさんに当てたり、といったハプニングもありつつ、コージさんのリード2ピッチで核心部を抜け、最後はシブさんのリードで大滝を抜けることができた。

大滝の上はゴルジュになっており、登れなさそうな滝が続いているので、左岸に乗り換えて巻き続けていく。1,800あたりで一度河原に降りるが、さらに滝が続いており、左岸を巻き直し1,900辺りでようやく滝場がおさまったので河原に再度降りた。


翌日のことを考えて極力進んだが、2,000の二俣直後から再度ゴルジュに入るようだったので、斜爆の少し前の斜めの狭い草はらを無理やり整地してシブ&コージさん、他の3人で、2箇所に分かれて泊地とすることにした。
この日は夕方大雨の予報だったので急いでタープを張ったが、張り終えた頃に予報通り大雨となり、タープの下でやや、雨飛沫を浴びなら、棒ラーメンを食べたりして耐えることとなった。
雨の中のビバークは辛いものがあったが、2時間ほどで雨は止み、青空も見えてきたので、3人とも気が大きくなり、結局残りのウイスキーを飲んだり焼酎を飲んだりして呑んだくれて楽しく過ごすことができた。
夜はナナメで体がずり落ちてしまい、あまり寝られなかった。

4日目

泊地~光岩~光岳~イザルガ岳~易老渡

行程が遅れているので、四時起床、五時半出発。
連瀑帯に入ることはせず、右岸尾根を巻き続けて光岩を目指す。


急登が苦しいが、シブさんから、沢屋は40代後半がピークだからまだまだ伸びると励まされ、とても元気が出た。
馬の背状の箇所などもあったがコージさんの素晴らしいルーファイでグングン進み、七時半頃光岩基部着、八時に光岳山頂に到着することが出来た。


光岳小屋でビールで乾杯。
九時半に小屋を出発。
富士山を背景に、グングン下山。


イザルガ岳までさらに100メートルほど登ったが、後は快適な登山道を一気に下山。
13時前には易老渡に下山することが出来た。
最後、熱さのため熱中症になりかけてしまったが、なんとか下にたどり着き、ジャンボタクシーで車に戻ることが出来た。
阿南温泉かじかの湯で四日間の汚れと疲れを洗い流し、スタミナ丼で回復し、帰阪した。

山行中は不安と疲れの塊のようなものだったが、終わってみると充実した四日間だった。
参戦させて下さったシブさん、コージさん、カズレーサーさん、jukuさん、いい沢でした。ありがとうございました。また、お願いします。

 

 

 

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4件のコメント

  1. さっそくレポを有難う‼️
    要点掴んでいて、とても分かり易かったです。
    次は北ノ又川ですね😄。リンチョウとは全く異なる冒険が待ってます😉

    • ありがとうございます。またまた不安でいっぱいですが、できる準備は全てして、臨もうと思います。よろしくお願いします。

  2. 臨場感伝わってくるレポートで、2度行った気持ちになりました、ありがとうございます。長丁場の沢は、色々と学びや反省もあり私も貴重な経験になりました。次も宜しくお願いします〜。

    • ありがとうございます。拙い内容ですが、そういっていただけると頑張って書いた甲斐があります。
      次回もどうぞよろしくお願いします。