「ツトムで~す」
「クルーズです」
「いきなりですけどね、うちのオカンがね、日曜日、山で凄い体験したらしい」
「あっ そーなんや」
「その名前をちょっと忘れたらしくてね」
「自分の体験したことの名前忘れてもうて どうなってんねそれ」
「でまあ色々聞くんやけどな、全然分からへんねんな」
「分からへんの?ほな俺がね、ちょっと一緒に考えてあげるから、どんな体験したのかを教えてみてよ」
「なんかな、山の中の、川の上流の方へ行ったんやて。そこで川の中入って、じゃぶじゃぶ上流へ向かって進んだんやって。でな、一緒に行った連中、みんな薄汚い格好してて、なかには、ボロボロのカッパ着て、ジャージに穴まで空いてた奴もいたらしい」
「おー それは沢登りやないかい。汚い格好して、渓流の中を進んでいくんて、沢登りしかないやろ。連中、藪こいだり、焚火の火の粉浴びたりするから、着てるもんボロボロで、ひどいのになると浮浪者以下やで」
「でもこれちょっと分からへんのやな」
「何が分からへんのよー」
「いや俺も沢登りと思うてんけどな」
「いやそうやろ?」
「オカンが言うには、一人だけやけどフェラーリ乗ってやってきたらしい」
「あー ほな沢登りと違うかぁ。沢登りやってる連中なんて、絶対フェラーリなんか乗らへん。それ以前に、フェラーリ見ても何の車かすら分からへん連中や。あいつら、大概、ワンボックスやらワゴンに乗ってるわ。中で寝られるからな。そやなければ、沢登ってばかりで金がないから軽自動車や」
「ほな、もう少し教えてくれる?」
「オカンが言うには、滝のそばの崖登らされたらしい」
「はな沢登りしかないやろ。崖登るんは、他に岩登りもあるけど、わざわざ好き好んで滝のそば登るんは完全に沢登りやがな」
「けどな、オカンが言うには、ホリエモンもやってるらしい。」
「ほな沢登りちゃうやないかい。六本木ヒルズ住んでるような金持ちが、わざわざ沢登りなんかせーへんやろ。沢登りやってる連中からしたら、六本木ヒルズなんて宇宙の果てより遠いやろ。どこにも接点あらへんで」
「ほな、他におかん何か言ってなかった?」
「河原に出たとたん、転がってる丸太集めて焚火始めたらしい」
「やっぱり、沢登りやないかい。あの連中、焚火大好きやで。用がなくても焚火始める連中や」
「けどな、オカンが言うには、焚火のそばでコーヒーミル取り出してコーヒー豆ひき始めた人がいたらしい」
「沢登りちゃうな。沢登ってるやつにそんなおしゃれな奴おらへん。そもそも、荷物軽くしたいから要らんもんは極力持ってこないはずやで。ビール除いて」
「もうちょっとなんかゆうてなかった?」
「焚火に火が付くと、飯盒で湯を沸かしてソーメンゆでてくれたらしい。ただ、その飯盒が、原爆資料館に展示されてそうな、ボコボコの黒焦げになった代物だったって言うねん」
「ほな沢登りしかないやろ。旧日本兵以来、そんな飯盒つこうてんの、沢登ってる連中しかおらへん。」
「でも分かれへんねん」
「なんでや」
「そのあと、デザートでマンゴー出てきたってオカンが言うねん」
「ほな沢登りちゃうやないかい。沢登りでマンゴーなんて出てくるわけないねん。そもそも果物なんてめったに出てこーへんで。連中が必ず出してくるのはウインナーや。2パックまとめて売られてるアルトバイエルンや」
「オカンが言うには、ウインナーも出てきたって」
「ほな、沢登りで決まりや。もうええわー」
「ありがとうございましたー」
シャウエッセンが好きです!お邪魔しましたーーー
なぜか、身の回りは、みんなアルトバイエルン持ってきますw 皮がパリッとして旨いんやと、だれか言ってた気がします。
勉強なりますぅ♥
それでもシャウエッセン…