2021/3/15 大熊谷東俣谷左股遡行、大熊谷東俣谷西尾根下山

大熊谷東俣谷を遡行、左股に入り、大熊谷東俣谷西尾根を下山という計画。仕事を片付けて平日の早朝に沢の入口に立っているのはほんとうにに気持ちいい。

2回目となる大熊谷東俣谷だが左股を遡行するのは初めて。下山は長い林道歩きを避けて直接駐車地に戻ってみることに。

まだ泳ぎたくないので巻きを多用。ほどなく不動滝。直下まで行き見惚れる。青空からの白い一条と対話しながらゆっくりする。

 

 

体調のいい時には滝は小さく感じるけど、これは60mくらいかな。左岸巻くが、沢屋さんでも釣り師さんでもなく、たぶん滝屋さんが、太い電線を地べたに這わせまくっている。これはゴミだ。簡単に巻いて、落ち口からは絶景。

10分ほどで夢幻滝。ここまででそのゴミは消える。わかりやすい。前回はかなり水量があったが、このくらいの流れは優美だ。包まれゆっくりする。

 

右岸を巻き登り、20分ほどで二股。左股から上にもう次の滝、25mが見えている。

自然林の中を気持ちよく遡行。特に難しいところはない。滝は連続している。

稜線まで出ずに林道に上がったところで西へ300m水平移動し西尾根に乗る。自然林の中に古い切り株が見られる。木々の成長具合からみて、杉か檜を伐採して50年くらいの自然林の尾根だ。下草も少なく歩きやすい。そして、ものすごく獣の気配がある。適当にデケデケ下っても、知らずにまた鹿の道に乗っている。

いつも出会うけど名前を知らない木や、いつも嗅ぐけど名前を知らない白い芳香の花とすれ違いながら、熊のことを思う。人にとってほんとうに大切なものは、発音して二文字以下だと、常々思っている。今日の、みず、たき、やま、き、はな、みちも、全部そうだ。そして、くま。出会っても逃げない、怖いのはお互い様、と心に思う。

途中、崖を避けて、789mピークから南東尾根に650mあたりまで降り、斜面をトラバースして元の西尾根に600mあたりで乗る。このトラバースでも鹿の道に助けられる。彼らも緊張から解放された場所で排泄している。気持ち良くわかる。450mあたりまで順調に楽しく下る。

いちばん最後の崖に出ると、直下に大熊谷の流れと車道がとても小さく見える。標高差250mほど。これが、とても恐い。尾骶骨の付け根に冷たい感覚が走る。左折。ロープを出して東の斜面をズルズル降りて403mピークで詰む。少し平坦なところで考えてみる。クラ(難字)がドンと構えている。一旦ルンゼ横の岩場を下りてみるが、先が見通せない。戻る。稜線から続く岸壁はそのクラと連結していて、その鞍部が私には登れない。しかし上部に木の根が見える。それさえ掴めばなんとかなる可能性があると思い、空荷で登るが、ビビりも入っているので途中でクライムダウン。しばし考え、ルンゼ横を降りなおして3mくらいの枯れ木を拾い引っ張り上げて、岩溝に押し込んで、ここだけ木登りに変える。バランスで登り、根をとって、そのままロープは外さずに反対側斜面を覗き込むと降りられる斜面で心が緩む。解けた。リュックを引っ張り上げて、これで岩の迷宮を脱出。直後のズルズルの斜面にも、もう怖さはない。でも大きな危険の後の小さな危険が、たぶん本当に危険なんだろうと自省し思う。

なんとか、明るいうちに下りて来ることができが、またまともな食事してなくて、菓子パンが残った。

もう迷わず行けるので、次回この沢に行けくことがあれば、この尾根使おうと、これは直後ではなく、5日経って思った。

 

 

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