富士川 早川 保川 本流から標高615mの左又溯行 2022/10/22-23

同行 ノストラカマス氏、カマ友一名

保川は釣り師が多いとの記録があり、9月の初釣果に続けて、釣りをしてやろうと目論見んで向かった。


入渓地点の近くまで林道があるけれど、堤防工事をしているため、林道入り口で通行止めになっていた。
林道をテクテク歩き、道が崩壊したところの先が入渓地点で、崩れた斜面にトラロープが設置してあり、楽に川へ降りることができた。

入渓地点のザレた斜面

 

入渓後すぐは広い河原だが、ひとつめの滝がすぐに現れ、以降は南アルプスらしい広くて明るい印象の楽しい沢登り。魚影も目立つ。

一つ目の滝

水流内に、枝にひっかかった鹿の死体あり。さらに上流には、左岸の崖下にタヌキの真新しい墜落死体あり。

鹿の死体

林道入ってからずっと、所々に結晶したような岩があり、その岩には、くぼんだ穴ができていた。少し石灰分が含まれるらしく、溶け出した石灰分が結晶した跡も見られる。
興味深く、同行者に断って、2回ほど周辺を見て回る。
特にめぼしいものはないけど、何だかワクワクする。

石灰が溶け出したような感じ

 

この日はいつもにも増してノストラカマス氏から苦情?激励?があり、ちょっと複雑な心境だった。
私が歩くのが遅いと、やたら言われて、進みが遅いから予定どおりに山頂へ行くことはできないと、16時半を目途に標高800mに手ごろな泊地を見つけて一泊することに。
遅いとか、どんくさいとかは、おじさんたちからよく言われるので、すでに慣れの境地だが、この日はカマス氏の近くを歩いていたので、いつもより頻繁に言われる状況だった。

私としては、林道を車が通れる見込みでゆっくり出発したことも進みが遅い原因の一つと思えたので、自分が遅いせいだけが原因とは考えていなかったけど、カマス氏たちがどう考えていたかは特に確認していない。
遅いと言われていたので、釣りなんかして時間を費やしてはいけない気がして、竿は出さずに終わった。
焚火・泊地の用意と、夕食~宴会は楽しく行われ、快適な泊地でゆっくり眠ることができた。

翌朝、私の帰りの電車の時間を考えて、さらに上流に行くのはやめて、保川本流を少し下って、標高615mにある左又へ行ってみようという話になった。

釣り師が多いためと、おそらく伐採のために、川沿いに杣道があり、所々崩壊はしているが、便利に使って下ることができた。
標高615m左又へ入り、登り始めると、すぐに立派な滝が幾つも現れ、みんな歓声を上げる。
滝を登るときも、巻くときも、カマス氏に何かと文句を言われて、少し焦りながら登っていた。

3mほどの滝に行き当たり、水線の右側にホールドがよく見えて、登れそうだったのでそのまま登った。
左又に入ってから、フレーク状でもろい岩質になっていたけれど、その滝は傾斜が緩く、登りやすかった。
滝の落ち口の高さまでは登ったが、沢に戻るには、ガレた斜面を横切らなければならない。
後続に落石しないように、少し待っていたら、カマス氏が登ってきて、ガレた斜面が危ないので、いったん下にクライムダウンしてから水線を登りなおしたほうがいいと言われ、みんな降りる。
カマス氏に判断ミスと言われて、また少し焦った。

その先の滝の横を登るときも、私がセカンドで登るが、ケイビングのコールシステムと、沢登りのコールシステムが混ざって、セカンドのコールを間違って登ってしまった。
ケイビングのコールと混ざったと、うまくその場で説明できず、カマス氏の呆れた顔を見て、また焦った。

次の滝を登るとき、私がトップで登ると言って登ろうとしたけれど、フレーク状の岩にカムもハーケンも効かなくて、モタモタしていると、ビレイしているカマス氏がまた呆れた顔で見ていて、とうとう焦りが募って、カマス氏に大声で怒鳴ってしまった。
「馬鹿にした顔で見るのやめてください!もう嫌です!」みたいなことを言ったと思う。
カマス氏は「そんなつもりないけど、何しようとしてるか分からなくて…」とびっくりしていた。

そもそもカマス氏の顔は生まれつきなのだ。馬鹿にしてる顔ではなく、焦った私が勝手に思い込んだだけなのだった。

そのピッチは、カマス氏が代わりにトップを登ってくれた。
しばらく登ってゴーロのような安定した場所まで到着してから、カマス氏に「怒っちゃってごめんなさい」と謝った。
カマス氏は「ごめんな、無理させて」と逆に謝ってくれて、その後もえらい気を遣ってくれて、申し訳なかった。
カマ友の方にも気まずい思いをさせてしまった。

左又はどんなところか分からずに行ったけれど、立派な滝がたくさんあって、岩質が様々で、変化に富んだ楽しい谷だった。

左又に入ってすぐに現れた滝

稜線に出た後、薄い踏み跡をたどって林道に戻り、近くの温泉にも寄ってから、帰りの電車に乗ることができた。

稜線から見た富士山

考えたら、こんな秋口に沢登りに来たのは、初めてだと思う。
あちこち引きずり回してくれるカマス氏に感謝。
怒鳴られたカマス氏は特に気にしていないようで、保川は楽しかったから、もっと上流も行きたいとルンルンしていた。

わらじの会に入会してから、毎回の沢登りで必死な思いをしていますが、ブチ切れたのは初めて。
昔からの友人はよく知っているのですが、私は5年に一回くらいブチ切れることがある。それは、空腹のときと、分かってることをウルサク口出しされたとき。
ケイビングでは20年のうち、切れたのは5回以下です。
沢登りでは、1年目で切れてしまった。今後どうなるか、乞うご期待?

About Author

8件のコメント

  1. ちなみにチカノさんは、わらじ女子の中では、私の次に足は早いと思いますよ。石灰岩探しに寄り道しなければ。足の速さに男女差あります。

    • 近野由利子

      ありがとうございますー。
      石灰岩をもっと見に行けるように頑張らねば。

  2. レポ有難うございます!今回もとても楽しく読ませてもらいました。

  3. チカノは、そんなに遅くはないとおもいますが(^^)/。カマス氏が早いのです。
    沢中での言いやい仲直りできるのは、いいパーティの条件だと思いまし、ほんとの沢仲間になったんだと思います。なかなか喧嘩するのは難しいですもの。

    • 近野由利子

      カマス氏は背が高いので、リーチの差があると、いつも思います。ついで歩くと、小人の気持ちです。

  4. 昔、沢の相棒だった遠藤さんは歩みの遅い人でしたから、時々時間切れで
    ビバークを何度かしました。誘えばどこにでもついて来てくれる人でした。

    • はまやさん、コメントありがとうございます。歩くのが遅くても需要があると安心します。
      しかし、歩くのが遅いと、一日に行ける範囲が狭くなるので困りものです~。