南アルプス/大井川 赤石沢本谷

メンバー:シブ &コージ、アサラト妖精()

PC故障によりスーパー遅くなりましたが、昨年の9/26-29にて遡行した大入渓谷は赤石沢について。

大渓谷への憧れから今年は黒部へ行ってみたいと思っていたが、天候や、仕事で、予定がなかなか合わず、足踏みしていたアサラト妖精です。

そんな中、シブさんコージさんのお誘いを受けて南アルプスの深部、赤石岳へ突き上げる赤石沢本谷へ同行させてもらう事になった。

沢登りとして3000m級のピークへ詰め上がるのは今回が初めての経験となる。

元々ハイカーだった自分としてはどんな沢でも出来るだけピークを踏むか、せめて稜線へ詰めて、その山域を感じながら下山したいという想いが少なからずあるので、その全てが叶う初の大渓谷遡行に期待でいっぱいだった。

登山客で賑わう畑薙第一ダム臨時駐車場にて前泊、翌朝シブさんコージさんと合流して、東海フォレストの運営するバスで椹島ロッジまで行き、登山道を少し引き返して赤石沢へ入渓。

ここから谷中2泊、赤石岳へ詰め上がり赤石小屋で1泊して下山する。

計画によっては2泊でも充分に遡行可能なルートであるが(1泊で遡行している記録もあった)畑薙第一ダムの駐車場から起点である椹島ロッジまで(片道16km)をバスを利用するなら指定の小屋で1泊しなければならないというルールがある。

(後日、今後のアプローチにと折りたたみのマウンテンバイクをググったりした。)

私自身、はじめての南アルプスの大渓谷ということもあり折角なら谷中で2泊したいと思っていたので今回の計画はとても嬉しかった。(シブさん、コージさんが帰りのバスの時間なども吟味して計画を立ててくださった。)

山行、遡行において、できるだけ荷を軽くしてスピードを上げるか、または逆に生米を積んで泊数を増やす、この両極において体力的にも技術的にも難しくなる。

そんな中で今回の谷中2泊、小屋1泊は荷も軽くでき、じっくりと赤石沢を感じながら遡行出来てとても良かった。

天気の良さが水の綺麗さを際立たせる。

入渓直後から渇水とまではいかずとも水量が少ないという話になり、大渓谷ならでは?の水流の処理、渡渉などを体験できると息巻いていた自分にとっても少し優しくなっているなという感覚はあった。(持って行ったライジャケは結局使わなかった)

それでもなかなか渡渉という渡渉をしてこなかった自分にとって、上流側へつま先を向けながら摺り足でじわじわと足を出していく感覚を身体に入れれたのはとても良い経験となった。(もうすこし水流があるだけで格段に難しくなるだろうと想像しながら)

1日目はそんな水量の少なさもありサクサク進み幕営予定であった北沢出合には午前中のうちに着いてしまったので、そのまま遡行を続けて幕営適地を探した。

それでも時間がたっぷりあったので、タープを張ってから釣り。

釣行の記録もある赤石沢であるが、魚影濃く、スレてもいない。

数時間で6匹釣りあげて豪華な夕飯になった。

遡行開始直後から散見する赤い岩(ラジオラリアチャート)は水に濡れるとよりその赤みが際立ち、日の光を浴びると淵のエメラルドグリーンとの対比が美しい。

2日目からは本谷の滝が少しづつ大きくなり、巻きでロープを出すところもあり、大ゴルジュ帯へと進んでいく。

門の滝は左岸のブッシュからロープを出して巻いた。

つづく洞窟ノ滝はその名の通り滝の右側に大岩が重なりその隙間が洞窟のようになっており縦穴を登って突破できる。

残置の支点、アブミがあるが、ホールドスタンス豊富、フリーでも登れる。

ただし出口の穴がかなり狭いので空身で抜けて荷揚げの必要あり。

洞窟を抜けてピッチを切り、荷揚げしてから再びロープを出して乗越した。

その後も巨岩帯が続く。

大ゴルジュの入り口

見た時に何故かふと「枯山水」という言葉が頭をよぎった。

「自然の作り出す圧倒的造形美」言葉にすると凡庸であるが、そこに漂う空気感に「寂び」も「侘び」も感じた。この大ゴルジュは美しかった。ふらと入って行きたくなるこのゴルジュ帯、突破は本当に不可能なのだろうか。心に刻んだハイライトである。

大ゴルジュはロープ出して右岸高巻き。

ゴルジュ帯を巻き上がると一転して穏やかな渓相となる。

2日目も計画の行程では時間的に余裕があったのでここから竿を出しながら、裏赤石沢出合、奥赤石沢出合へと進んでいき、2日目の夕飯にもイワナの塩焼きにありつくことができた。

3日目は百間洞を遡行して百間洞山の家から主稜線へと詰め上がり、泊地である赤石小屋を目指す。

百間洞大滝

左岸巻き。

3日目は朝からぐずついた曇天で沢の詰めの段階で既にガスが出て視界を奪う。

そして稜線へと詰め上がると、体が持っていかれそうになる爆風が吹き荒れる。

寒さと強風で歩みを止めれない。

避難小屋まで黙々と歩く。

避難小屋では登山客が3名文字通り避難しておられた。2名は赤石小屋から来たと言っておられたが、計画を断念した様でその晩にまた赤石小屋でお見かけした。

避難小屋で小休止を取るも、風のおさまる気配がないので出発、赤石岳のピークへ。

ガスと爆風で眺望の効かない中、記念撮影も撮れなかったが、ここで今回のハイライトがまたひとつ。

爆風で岩粒が飛ばされて動いているのではない、そこに雷鳥のつがいが!

爆風の中「雷鳥やー!」と大声を出してしまったので雷鳥達を驚かせてしまい逃げていく所を慌てて撮った写真。

自分で撮ったのに雷鳥見つけるのに30分くらいかかった。

赤石岳を超えて本日の泊地である赤石小屋へ登山道を下る。

富士見平なんて最高な名前の稜線も眺望ほとんど効かずで通過。

赤石小屋に着くころには風もおさまってきた。

人生3度目?の小屋泊。

山小屋は、増築やらで面白い間取りになってる事が多いので見てて楽しい。

昔、北アルプスの山小屋で食事出しと皿洗いを手伝って泊めてもらったのを思い出した。

翌日には天気はすっかり回復していたので、朝食前に三角点まで富士山を見に行った。

下山は東尾根(大倉尾根)を下り椹島へ。

普段、関西の遡行では植林帯を突っ切る杣道を下山に使う事が多いので、自然の森を感じながら気持ちよく下山するのは最高だった。

沢をはじめてから山登りで何度か足を運んだ北アルプスを沢から遡行!(黒部へ!)

という想いが強かったが、南アルプスも最高に良かった。

来シーズン(今シーズン)も行きたい所だらけで困る。

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2件のコメント

  1. 雄大な南アルプスも良いですね!北、南とらわれず、今年も大きな谷にいきましょう!

  2. 赤石谷は、天気・水量に恵まれて最高でしたね!
    私も、余りにも拍子抜けした感ありでした。三日目の悪天は登山道なのでご愛敬ですね。
    安全に溯行を成功させるために、決行に至るまでの熟考が大事ですよね。
    また、大渓谷行きましょう!