『溯行』20号には、茂木氏による丸塚谷各支谷の詳細な記録が載っている。
その中の二ノ沢出合には「百から百五十米の連滝帯」があり、未溯行部分として残されていたので興味を持った。
【日程】2018年9月18日
【場所】小橡川 橡谷川支流 丸塚谷 二ノ沢
【メンバー】O君、シブ&コージ
またもやO君に声を掛けて丸塚谷に行くことにした。
出合の100mあるという連滝が気になって選んだのだが、こんな厳しい登攀になるとは、思ってもみなかった。
林道から適当に下って丸塚谷本流へ。しばらくはゴーロで、連滝を秘めた谷々があるのか、疑ってしまう。
やがて、左岸に連滝掛ける谷が入り、これが本流出合のようだ。更に下って、次に左岸から出合う谷に入る。
手始めにさっそくCSをシャワクラしてみる。
ニノ沢出合は両側には厳つそうな壁がそそり立っていて、険悪な雰囲気を漂わせている。ただ、谷中はゴーロで困難なく、しばらく進んで行ける。
しかし、進むに従い、両側がスリット状に狭まり、滝を連ねるようになる。
側壁は、一筋縄ではいかなそうで、巻きには容易に逃げることができない渓相だ。
いつ足止めを食らうのか思いながら出てくる滝、出てくる滝に近づいて行くが、幸いなことに出てくる滝は直登を許してくれた。
そうして、谷が左折する先に大滝が現れ、足止めを食らう。二段30mだ。
直進するルンゼから突破口を図ることにした。
まず、大滝下段をシャワクラし、ルンゼ内へトラバース。
ここはコージのリード。ルンゼはいきなりチムニーとなっていて、突っ張りでせり上がる。
まず、大滝下部をシャワクラ。
ルンゼ入口はチムニーとなっている。
ルンゼから振り返って。
二段30m大滝の横顏。
滝側へのトラバースを試みるが断念し、更にルンゼを登る。
ルンゼの奥には、苔と泥に覆われたオフウィドスが待ち受けていた。
コージ→O君→コージと、交代で攻め、ネイリングで突破を果たす。
しかし、その上に待ち受けていた草付きが極悪だった。
粘り強い登攀でここを突破し、大木の生えるバンドまでザイルを伸ばした。
。
しかしながら、最奥に待ち受けていたのは、前進不可能な壁だった。滝側へのトラバースが最後の選択肢にあったが、時間的猶予が残されていないので、撤退を決定。
懸垂下降で引き返すことにした。
最後に降りることになった私は、ここで最悪の過失を犯してしまう。
足元にあった大岩を二人のいるルンゼ内に落とし、コージの右足を直撃し、
負傷を負わせてしまった。
懸垂下降したバンドにて。
下手をすれば、最悪の事態を招いた落石だった。
色んな幸運に恵まれ、何とか林道まで戻ることができた。
怪我の処置や下山ルートの確保など、冷静な判断でリードしてくれたO君に感謝である。
付記
2019年、丸塚谷を再訪したところ、ニノ沢と思い込み入ったのは、
実は一ノ沢左又だったということが判明した。この記録は、だから、
『溯行』20号の茂木氏のトポによると、一ノ沢左又の出合にある150mの連滝
の登攀の模様である。
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