加茂助谷は、大杉谷に長瀑を落すことで知られる。
一般に“ニコニコ滝”と呼ばれているが、本当はその滝のことではないこと、
その奥に凄いゴルジュを秘めていることは意外と知られていない。
【日程】2019年11月7日~8日
【場所】台高 宮川 大杉谷支谷加茂助谷
【天気】晴れ時々曇り(7日、8日とも)
【メンバー】シブ(記)&コージ
宮川第三発電所近くのスペースに車を停めて登山道を歩くこと約3時間。
獅子ヶ淵を越えたところで、登山道から離れて出合に立つ。
聳え立つのは、“ニコニコ滝”と一般に言われる90m。
左岸に道があったらしいが、滝に迫れるのはわらじの先人、
中庄谷&池上のスーパー沢屋が採った右岸だろうっということで。
ルンゼからハング帯は回避して、バンドを辿って滝身に近づく。
カンテを回り込むと、足元がスパッと切れ落ちた大空間に放り出される。
幕営装備を詰め込んだザックが引っ掛かり、チムニー内で奮闘!
(奮闘し過ぎで、写真は撮れず。。)最後はシャワー浴びて滝の頭へ。
その上のナメ15mは、手が付けられ、高巻くが、まだまだ、これは序の口。
斜滝20mや巨大CSの二条15mが矢継ぎ早に現れる。
そうして、現れた30m。両岸は厳つい岩壁に囲まれている。
先人も苦労したらしいので、今日は滝前で見付けた砂地で幕営することにした。
斜滝20m。
CS15m。
翌朝。
さて、目の前には30m。その上にはこれが本当の“ニコニコ滝”とされる秘瀑が潜んでいる。
左岸からでは迫れないということで、やはり右岸を選択。
登ってもトラバースしても、壁、壁、壁。
どう攻略したかはここでは内緒にして、数時間の高巻きでようやく“ニコニコ滝”前に立つ。
直瀑30m。
落ち口。
ニコニコ滝本滝。
本当のニコニコ滝は、簾状の美滝だった。周囲の厳めしい岩壁と、
吸い込まれそうなコバルトブルーの美しい釜との対照が際立つ。
崇高美とはこのこと。厳しさと美しさとが融合した風景。色々見てきたけど、息を呑む風景だった。
この上にも滝は続くが、ツルツルに磨かれた岩肌は、取り付く島もない。
滝壺に落ちた村人が這い上がることができずに気が触れたのか、
にこにことして死んでいったという言い伝えが、その名の謂れというが、
なるほどと思う。
ゴルジュを抜けても、廊下やナメや小滝があって、
決して平凡という訳ではない。
しかし、林道が近づくとさすがに荒れてきて、
堰堤を越えたところで見切りを付けて林道に上がる。
下山は、水越谷を下って、大杉谷へ。
登山道に上がると、一人の女性に話し掛けられた。
昨日私たちの奮闘を展望台で見ていたとのことだった。