頚城・島道川滝ノ内沢は、標高1300mの鉾ヶ岳に詰める小さな沢だが、国内屈指のゴルジュを秘めている。
当会の川崎実&能勢唯司のパーティによって初登されて以来、岩崎慶訓&北條更、青島靖(会外)らのパーティによってトレースされているが、これまで数えるほどしか再登しかない。同じ頚城の不動川の人気と比べても、その困難さが伺える。
2024.8.2~3、滝ノ内沢・下部ゴルジュ。メンバー:コージ、シブ
絶対晴天のこのシーズンに滝ノ内沢を狙う。出合からはその辺の小川と変わらぬ風景だが、突如、牙を剥く。
一条ノ滝40Mの登場。まず、この大滝を突破せねば、滝ノ内沢には入谷できない。この谷の敷居を上げているのは、
間違いなくコイツの存在。
一条ノ滝。
まずは一条ノ滝を登攀。粘り強いネイリングから、際どいフリ-クライミングで頭へ。
この滝の突破に約4時間。
ようやく、ゴルジュへの潜入を果たす。ゴルジュ内は小滝と言えども、おいそれとは突破させれはくれないものばかり。
6Mをネイリングで突破すると、両岸は逆層の側壁が聳えて素晴らしい。
クライミングシューズは履き放しで、足先が痛い。そうして、息もつく間のなく、15Mの登場。
15Mも一条ノ滝と同じく、ネイリングからフリー。これも二人で3時間。頭に立つと、ちょうど良い岩棚があったので、
ここでビバークすることにした。タープもシュラフも広げることなく、雑魚寝する。
翌朝も6時前から行動開始。まだ、ゴルジュの只中。
素晴らしいハングの側壁が聳える。岩崎さんが表現する、「喉の奥から口を眺めた風景」だ。
小滝と言えども全然易しくない滝の応酬。
キツイ課題を幾つもこなすと、両手が届かんばかりに側壁が迫った水路状ゴルジュとなる。
非日常の異空間が極まる。見上げる青空が救いだ。
水路から這い出すと、出口には7m。シビアなネイリングを余儀なくされる。
7mを越えると、ようやく河原となり第一支流、第二支流を分ける。
相談の上、第二支流からエスケープすることにした。
2024.9.9~11、滝ノ内沢・上部ゴルジュ。メンバー:コージ、シブ
先週は台風でキャンセル。翌週、再計画し、再び能生へ向かう。
上部ゴルジュは二段45mのウバ滝を高巻いたところから始まる。
上部ゴルジュは低いながらも磨かれた側壁でカムは無論、ハーケンも決まり難い。側壁の上部には険悪な草付き帯が広がる。
ステミングに、マントリング、ショルダー、荷揚げ・・・様々な技を駆使して突破していく。
松尾ベンのすごい切れ込みを左に見ると、吹上滝二段25m。ここからは、樹林が近くなり、幾分、気分が楽になる。
しかし、二段25m、7m、10m、20mと直登できない滝が相次ぎ、藪を漕ぐ。
再び、両岸迫ると、ゴルジュの最奥に25mの登場。
岩崎さん、「順層で全然優しかったで~」とのことだが、全然易しくなかった。。。
25mを越えると河原となり、無事に下山できることを確信する。
整地し、タープを広げる。焚火を囲んで、完登の余韻に浸る・・。
翌朝は、右又を詰めて、登山道にて吹原へ下山。
県道までものすごい藪漕ぎが待ち受けており、これがある意味最大の核心だったかも?
大滝も、ゴルジュも、草付きも、藪も、すべて丸ごと受け留めてこそ、沢登り。